第304話 頂き物
……スイカを貰いました。
いやぁ、野菜とか果物とかご近所さんから貰えるのは嬉しいんだけどさ。
スイカ五玉は流石に多いかなって。
「こんなにですか!?」
って聞いたけど、その人、車にまだまだスイカ乗っててさ。
あまりにも多いから配りまわってるんだって。
一人一玉計算でそのまま五玉貰っちゃった。
と言っても、消費する当てはあるんだけどね。
そんな事があったので、今晩のデザートは決まりました。
ご飯も、スライム系触手の子供……芋虫的見た目甘海老をユッケ丼にする予定。
……そうだな、いちいち芋虫って認識でメンタル削るの嫌だから恒例の名付けでもしますか。
……シャコナリケリ、で。子供の方はコシャコナリケリ。
芋虫なんちゃらとかよりはよほどマシだし、これでいいや。
「タレとかはぶっちゃけ最後でいいし……」
で、ユッケ丼って全然作るのに時間掛からないんだよね。
まぁ、米を炊くとかの時間は除外するとして。
タレ作って混ぜ合わせて盛り付けて完成だからさ。
てなわけでやる事と言ったらみそ汁作る事と、デザートを作る事なんですわ。
……みそ汁もそんなに時間掛からないしなぁ。
デザートを先に終わらせるか。
「小さい頃は、スイカを半分に切って、そのままスプーンで食べたりとかしたかったなぁ」
俺が子供の頃の野望だったね。
スイカの皮をそのまま器にして、独り占めして半分食べたいって。
結局大人になってやることは無かったけども。
というわけで半分にしたら、目に見える種をほじくって取っていきまして。
取れる種が無くなったら、さらに半分に割り、取れる種を取っていく。
大体八等分のサイズになるまでそれを繰り返したら、皮から実を切り取りまして。
薄くスライスし、種が残っていないかの確認。
色関係なく種を全て取り終えたら、みじん切りにしてボウルの中へ。
一玉分やり終えたら、ビニール手袋をセット。
ボウルに入れた果肉を潰すようによく揉んで、レモン汁を投入。
更に三温糖を入れてよく混ぜて、と。
ここまでが下準備。あとはこれをバットに入れて冷凍庫へっと。
一度かき混ぜなきゃだから、この時に凍らせる時間の目安はおよそ二時間。
その間にシャコを使った料理を調べましょ。
エビはともかく、シャコ料理なんて全然想像つかないしね。
そうだ、トキシラズがまだ残ってるから、これもユッケ丼に乗せちゃおう。
「蝦蛄飯とかあるのか」
で、調べてみたら結構面白いレシピあるよ。
まぁ、シャコナリケリって自分で付けといてなんだけど、特徴的に蝦蛄に似てるだけだし、エビ料理のレシピを使っても全然美味しいと思うけどね。
それはそれとして蝦蛄飯は食べたい。
というわけでこれは作るとして。
炊き込みご飯を作るなら、和食……。
蝦蛄の煮付けとか出てくるね。あと天ぷら。
お願いラベンドラさんをすれば天ぷらもいけるし、そうしよう。
てなわけでやること終わっちゃったし……。
以下、四人が来るまでチルタイム!!
*
あっぶねぇ!! シャーベット凍らせてたの忘れてた!!
かき混ぜなきゃ!! 配信見てる場合じゃねぇ!!
って事で冷凍庫からスイカ入りのバットを取り出しかき混ぜる。
いい感じにシャクシャクしてるね。
かき混ぜてもう二時間凍らせたら完成ですわよ。
……どうせだし、シャーベットとは別にジェラートも作るか。
まぁ、作るというか、混ぜるというか。
とりあえず必要なバニラアイスを求めて買い物へ。
他何か必要なものあったっけな……。
*
というわけで帰宅しまして。
業務用のアイスクリーム2Lを買って来ました。
……割と値段した。まぁ、量が量だし当然だけど。
あとはこのバニラアイスと、皮と種を取ったスイカをフードプロセッサーに入れてスイッチオン!
完成です。
大量にあるから大量に作って、持って帰ってもらおう。
俺だってスイカを早く消費したいんじゃ。
で、そうやって混ぜては容器に移し、混ぜては容器に移し……という所に四人が登場。
もうそんな時間か。
「邪魔をす――何をしている?」
「あ、デザートの一つを作ってる途中で……」
「デザート!!」
今日の先頭はマジャリスさんか。
デザートへの食い付きが早い。
「進めっちゅーに」
後ろ、つかえてますわよ?
「……カケルの世界の果物か」
「ですね」
スイカを凝視して呟いたのはラベンドラさん。
一応、農林水産省の定義によれば野菜なんだよね、スイカって。
でも、果実的野菜って言って、メロンやイチゴと同じく果物として食べられてる野菜って括り。
つまり果物でも問題ない。だから鑑定魔法は間違ってない。いいね?
「今日の料理は?」
「えーっと、子供の方を使って丼を作ります」
「ほう」
「ユッケと言って、ピリ辛タレを絡めて生のまま丼にします」
「美味そうだ」
「もうちょっとで終わるのでそれまでお待ちください」
というわけで四人に見守られながら簡易ジェラートを混ぜ終えて。
容器を冷凍庫に入れ、ラベンドラさんへと向き直り。
「じゃあユッケの方、お願いします」
「分かった」
「俺はその間にみそ汁作っちゃいますから」
と言って、味噌汁作りに取り掛かろうとしたとき。
「私はシャコガキに合うタレを作ればいいのだな?」
ラベンドラさんの口から、正直耳を疑うような言葉が飛び出したのだった。
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