第298話 ○○ハラスメント

「邪魔をする」


 というわけで四人が登場。

 お待ちしてましたわぞ~。


「カケル、今日は何を作る?」

「今日はマスタードカツを作ります」


 んで、早速メニューを聞かれたので、聞かれたからには答えましょう。

 某銀河系悪役達も、答えてあげるが世の情けって言ってたし。


「生、蒸し焼きと来てのカツか」

「つまりは勝ちましたわね?」

「ああ、優勝だ」


 スミマセン、チョットヨクワカラナイデスネ。


「下味をつけ終わった所か?」

「ですです」


 調理に参加しない三人は軽無視し、エプロン付けて寄ってくるラベンドラさん。

 えーっと、まずは……。


「じゃあ、全部の水気を拭いて、マスタードを伸ばして塗って貰えますか?」

「う、うむ」


 キッチンペーパーを手渡し、俺はその間にみそ汁作っちゃお。

 べ、別にエルフ達の為でしかないんだからねっ!!

 大根と人参のマンドラゴラの味噌汁。……冷蔵庫に残った油揚げも入れてっと。

 お、お麩もあるじゃん。入れちゃえ入れちゃえ。


「カケル、こんな感じでどうだ?」


 ラベンドラさんに声をかけられたので振り返り確認すると……。

 バッチリなんだよなぁ。

 もっとこう、マスタードを目も当てられないくらい盛ってるとか、キッチンペーパーに包まってるとかしないもんかね。

 流石にエルフにお笑いは早すぎるか。

 別に求めてないけど。


「ばっちりです」

「よし」


 ラベンドラさん小さくガッツポーズ。

 そんなするほど? 今までのラベンドラさんの腕を考えたら、当たり前にこなしてそうな仕事だけど……。


「カケル」

「はい?」

「先ほどラベンドラに手渡した物、私たちの世界に存在する寄生型の魔物の卵にそっくりですわよ?」

「……はい?」


 俺が手渡した物って……キッチンペーパー?

 あれが? 寄生型の魔物の卵にそっくりなの?

 ……卵?


「触れていいものか戸惑ったが、鑑定は非生物と判定していた。自分の認識を塗り替えるのに苦労したぞ……」

「あ、そういう事だったんですね」


 どうやら、俺は無意識に異世界ハラスメントっぽい事をしてたみたい?

 イセハラ、注意するか。

 今回みたいなのは不可避だけど。


「普通アレを食べ物や水分に貼りつけると一瞬で食われる。最初のトライは勇気が必要だった」

「心の中で応援していたぞ」

「わしもじゃ」


 まだホッと胸をなでおろしてるラベンドラさんに、マジャリスさんとガブロさんから舐めた言葉が。

 ほぼ何もしてないのと同義なんだよなぁ、それ。


「次は?」

「卵液を作りましょう」


 卵と牛乳を手渡して、混ぜて貰って卵液へ。


「そしたら、トキシラズに塩コショウと小麦粉を満遍なく振ります」

「うむ」


 って説明し、ラベンドラさんが頷いたかと思ったら小麦粉がいきなり宙に浮き。

 同じく宙に浮いた、マスタードの塗られたトキシラズにまずは胡椒を振り振り。

 そして……。


「せいっ」


 宙に浮いた小麦粉に、トキシラズが突っ込む。

 あの、満遍なく振るって説明でそう解釈するのあなたくらいなんですけど……。

 あと、滅茶苦茶綺麗に小麦粉ついてた。

 全部ほぼ均等に。

 なんでやねん。


「よし」


 ヨシじゃない。

 全然ヨシじゃないけど、突っ込んでたら進まない。

 もう、ツッコまない、もうツッコまないぞ……。


「次は?」

「卵液、パン粉の順番で衣付けですね。今日はそれを二回繰り返します」


 今日はカツ部分を結構しっかり目にしたい。

 肉と違って火の通ったトキシラズは、下手すりゃ箸で持つだけで身が崩れる程柔らかいし。

 

「二回、か」


 で、当たり前に卵液浮かせてトキシラズを潜らせ……あーあ、パン粉も浮いてら。

 なんか思い出したな……エビフライだかを射出して作るみたいな映像。

 アレを思い出したわ。


「で、揚げていいのか?」

「あ、はい」


 そこまで終わったらゆっくりと油の中に入れて揚げていくラベンドラさん。

 流石に揚げるのを空中ではしないか。


「いーい音ですわねぇ……」

「揚がる時の香ばしい匂いも最高じゃわい」

「白米の炊ける匂いと合わさって腹が減る」


 匂いと音とでもう既に料理を楽しんでる三人。

 まぁ、料理の楽しみ方としては大正解なんだけどさ。

 ちょっとこう……高級なお店というか。

 鉄板焼きの高いお店……目の前で全部調理してくれるような所だったら子供のようにはしゃぐんだろうなぁ。

 連れて行くことは多分無いけど。


「皿への盛り付けはどうする?」

「マンドラゴラを刻んでサラダにしたのと一緒に盛りましょう。切ったレモンも添えて」

「分かった」


 という事で使ってた大根と人参のマンドラゴラと、頭葉を失敬しまして。

 大根と人参はそれぞれ千切り、キャベツは大まかにざく切りしまして。

 ボウルに入れ、胡麻ドレッシングで和えたらマンドラゴラサラダの完成っと。

 それをトキシラズマスタードカツを乗せるお皿の上に盛りまして。

 色味も兼ねてプチトマトもちょこんと。

 そしたら揚げたてのカツを乗せ、味噌汁、ごはんと盛りまして。

 完成!! トキシラズマスタードカツ定食!!

 漬物はぶらぶら漬けをご用意しました。

 長崎のお漬物らしくてね、長崎ちゃんぽんのチェーン店とかにあるんだけど、たまに無性に食べたくなるのよね。

 通販してるから、普通に買って冷凍してたんだ……。

 今まで忘れてたけど。


「お待たせしました」


 というわけで食べましょう!!

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