第259話 マンドラゴラフルコース
……野菜を使った酒に合う料理……ねぇ。
まぁ、俺の脳内レシピにはちゃんとございますけども?
結構手間がかかるやつばかりなんだよな……。
ラベンドラさんには申し訳ないけど、ほとんどの調理をこっちで済まさせてもらうか……。
「フルコース風に考えていくのが一番組み立てやすいかな……?」
とはいえ何をどれだけ作ろうか、という所は白紙からじゃあ結構難しい。
だから、コース料理を想定し、順番にそれに該当する料理を作っていくことにした。
まずは前菜。
「さっぱりしたのがいいし、だとしたらこれかな」
トマトのマンドラゴラを人数分取り出し、包丁で浅く切り込みを入れて茹で土下座。
茹で上がったら顔の付いた皮を剥ぎ、もう一度鍋の中へ。
そこに某動画投稿者監修の出汁パックを入れ、出汁が染み込む様にしばらく煮込む。
そいつをボウルに移し、出汁ごと冷蔵庫でキンキンに冷やしたらば。
前菜、出汁トマトの完成。
美味いよね、歯に突き刺さるような冷たさのトマトを齧ると、ジュワッと溢れるお出汁の旨味。
食欲無い時はよくこれ食ってたよ。
「そう言えば、今朝貰ったアレも茹でるか」
なんとご近所さんから枝豆を頂いちゃったんだよね。
夏と言えば、ビールと言えば、な枝豆は、こと飲み会となればその活躍は八面六臂。
……そう言えば、マンドラゴラに枝豆はいなかったな、残念。
というわけで枝豆の塩茹でを作るわぞ~。
と言っても何も難しくはない。枝豆をしっかり洗い、まずは塩揉み。
美味しくなぁれ、美味しくなぁれと歪んだ笑顔で揉みこんだら、沸騰したお湯の中にダンクシュート。
お湯には気持ち3%くらいの塩を入れてある。
後はこのまま茹でれば完成。ね? 簡単でしょ?
茹で上がった枝豆はしっかり湯切りして、こちらもボウルに入れておく。
前菜を二品作ったところでお次はスープ。
「オニオングラタンスープにしたい」
そこまで行くとメインになりそうな気がしないでもないけど、まぁ、何とかなるでしょ。
……いっそこれをメインに据えちゃって、スープはスープで別に作っちゃうか。
いや……汁物二品も作ると、酒と合わせてお腹チャポンチャポンになりそう。
スープ兼メインって事にしといて、先にサラダ作ろう。
サラダに使うのは……お前じゃァ!!
「ポテトサラダはつまみにもなる」
偉い人がそう言ってた。
てなわけでポテトサラダ作りへ。
まずはじゃがいものマンドラゴラの皮(顔面付き)を剥いたら、適当な大きさに切って電子レンジへGO。
レンジで熱してる間にフライパンでベーコンを焼きまして。
軽く塩コショウを振ったら、ここで溶き卵を投入。
ベーコンの脂やうま味を纏わせるように炒り卵を作り、出来たら火を止めて。
レンジでの過熱が終わったじゃがいもを、マッシャーを使って粉砕玉砕大喝采。
潰し終えたらマヨネーズ、ブラックペッパー、炒り卵とベーコンを加えてレッツら混ぜ混ぜ。
おかずにもつまみにもなる万能ポテサラがここに降臨っと。
「次は何にしようか……」
本来だと魚料理の順番なんだけど、基本野菜メインだしなぁ……。
そんな事言ったら、メインとスープを一緒にしちゃってる時点で……という話ではあるが。
「そう言えば面白そうなものを読んだ覚えが……」
と冷蔵庫の中のマンドラゴラとにらめっこしてたら、頭の中に降ってきたおぼろげな記憶。
ブロッコリーの唐揚げとか無かったっけ?
検索検索ぅ!!
あるじゃん! 鶏肉をブロッコリーに変えるだけで、そこまでレシピに変化はない。
じゃあやるか。
んーと? ブロッコリーの房と茎とを切り分けて、茎の部分は皮を剝くのね。
……この皮を剥くっていいなぁ。何故ならマンドラゴラの顔の部分が消えるから。
野菜の皮を剥く時にこんな感想持つの俺だけだろ……。
んで、お酒、醤油、チューブにんにくとチューブしょうがを混ぜたタレに房も茎も漬け込んで。
味が染みたら水気切って、片栗粉まぶして揚げるだけっと。
それはラベンドラさんにやってもらおう。
「んじゃあメインの準備をしましょうか」
というわけでいよいよメイン料理へと着手。
まずは……玉ねぎのマンドラゴラを皮剥いてみじん切りにしていく。
「目に沁みないの素晴らしい」
よくさ、玉ねぎを切る時に目に沁みない方法として、よく冷やすとか、換気扇回すとか言うけども。
このマンドラゴラはそんなことしなくても全然切っても沁みないんだよね。
ちょっと逆輸入出来んか? この生き物。
……というか、
「当たり前だけど滅茶苦茶頭葉出るな。……やみつきキャベツも作るか」
ほぼ全部のマンドラゴラに生えてるせいで、キャベツと白菜がたまっていくんだよな。
――そう言えば、ブロッコリーのマンドラゴラには頭葉が無かったな。
つまりあいつはハゲ。
ん~……白菜はクリーム煮にしよう。キャベツは前述の通りやみつきキャベツで。
で、玉ねぎは刻み終わったけど、これだけじゃあねぇ。
というわけで丸のままの玉ねぎも用意しまして、十字に切り込みを入れ、刻んだ玉ねぎと一緒にお湯の中に。
玉ねぎ丸々一個が入ったオニオングラタンスープ。一気にメイン料理っぽくない?
とかなんとかやってたら、
「愚弟ー!! お迎えはー-!!」
玄関からうるさいバカ姉貴の登場ですわよ。
「今マンドラゴラと格闘中ー!!」
嘘言ってないもん。格闘(料理)中だもん。
「マンドラゴラと戦ってるの!!? 見たい!!」
と、俺の言葉を真に受けた姉貴が走ってくるも、
「……なんだ、料理してるだけか」
だってさ。
なんだとはなんだ、なんだとは。
その料理をお前も食べるんじゃろがい!!
「てかめっちゃ荷物多くない?」
「お土産いっぱい買って来た」
ナイス姉貴。お土産については後でゆっくり見てやろう。
「まだまだ時間掛かりそうだからゆっくりしてなー」
「そうするー」
と、使われていない姉貴の部屋に荷物を置きに行き、その後はリビングで俺のお気に入りクッションにダメにされてた。
その間に固形コンソメを溶かし、玉ねぎたちを煮ろ煮ろしまして。
ある程度の準備が出来たところで、紫の魔法陣登場。
後はラベンドラさんと一緒に仕上げますかね。
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