第255話 七色果実酒
さてさて?
続いてデザートな訳なんですけどもね?
届いてましたよ、日本産色んな果実酒セット。
よく見る用なのから変わり種まで、彩り豊かな七本セット。
それが二つ。
一つは神様への献上品って事で手を付けない事として、もう一つの方をふんだんに使ってデザート作り。
と言っても、粉ゼラチン溶かして混ぜて固めるだけなんですけれどもね。
想定するゼリーの固さとして、弁当とかに使うピックで食べられたらなぁ、と。
一つの大きいボウルに、七色お酒ゼリーを盛って、映えも意識したい。
というわけで早速調理。
「ん~と、固め固めっと」
普通にゼリーを作る時のゼラチンの分量よりやや多く粉ゼラチンを水でふやかしまして。
それぞれお酒ごとにゼラチンを入れ、固まる前に容器に入れて、冷やす。
冷え固まったゼリーをボウルに移して完成。ね? 簡単でしょ?
なお、容器はよく知られる一口ゼリー容器を使用。
探せばあるもんだね。
というわけで折角だし、ゼリーを作るついでに一口だけ果実酒を各種味見することに。
……一口にしとかないと酔いつぶれちゃうよ……。
まずは赤色担当、苺のお酒。
「お、甘い」
苺の甘さがギュッと詰まった、ジャムに味わいが似ているようなお酒。
酸味はあまり感じず、アルコール感も甘さに隠れてるからこれは飲みやすい。
ただ、アルコールをあまり感じないせいでこれは飲み過ぎちゃうやーつ。
さぞやゼリーに合いそうだね。
「苺より甘くてこってりしてる」
続いてはピンク担当桃のお酒。
苺より甘くて、とろみがある。
身体に沁みこむような甘さだけど、こっちはしっかりとアルコールを感じるね。
鼻に抜けるアルコール感が熱を帯びた感覚になる。
美味いな。
「おぉう、締まった甘さ」
で、そんな桃のお酒の後に続いたオレンジ担当蜜柑のお酒。
こっちはキリッとしまった酸っぱさと、その奥から来るフレッシュな甘さがバッチグー。
これ桃の前に飲んでたら酸味抑えられたのかもな、失敗失敗。
「こっちもサッパリしてる」
次は濁りの無い黄金色に透き通ったリンゴ酒さん。
どのリンゴ使ってるかは分からないけど、酸味と甘みのバランスが凄くいい。
リンゴの蜜がしっかりと感じられる味わいのお酒で、非常にサッパリとしていた。
「似た色合いだけどこっちは?」
と試したのは梨のお酒。珍しいよね。
「あ、結構ガツンと梨が来る」
で、飲んでみて驚き。
正直、あんまり梨って食べた印象ないんだけど、それでもしっかり梨! って主張してくるお酒だった。
瑞々しい感じはそのままに、さっぱりとした甘みが長く残らずスッと引いていく感じ。
その後でぼんやりアルコールが感じられるかな。
美味しいな、梨のお酒って。
「で、当然ブドウもあります、と」
当たり前に入れられてるけど、ワインとは違うんだよね?
……リキュールって書いてあるから多分違うな。
原材料に巨峰って書いてあるし、絶対美味しいやつじゃんこれ。
「むぉ!? 甘い!」
最近ワイン飲んだしさ、その感覚で一口含んだら、ワインと全然違う甘さに思わず驚いちゃったよ。
渋味とか無くて、あの巨峰の濃厚な甘さをシロップにした、みたいな飲み口。
めっちゃ甘い。あと、めっちゃアルコール強い。
甘さに隠れきれてない感じ。……今更だけど、こんなのゼリーにしてヒョイパクヒョイパクして大丈夫か?
ぶっ倒れない?
……ま、いいか。俺は食べ過ぎないように注意しとこ。
「こんだけどれも濃厚だと、かき氷のシロップとかにしてもあの四人なら喜びそうだな」
なんて悪魔の発想が出たところで、最後のお酒。
白いお酒、ライチ酒のテイスト。
「おー、サッパリ」
ライチってさ、後味が特徴的じゃん?
その後味を殺さないようにか、アルコール度数は控えめ。
その分、果汁感がしっかり味わえるようになってて、尾を引かないさっぱりとした甘さを堪能できる。
……これ、俺用に量を作っときたいな。
これが一番アルコール低そうだし。
……というわけで粉ゼラチンがふやかせたので、一度火にかけゼラチンを溶かしまして。
それぞれのお酒をタッパーに入れ、ゼラチン液を入れて軽くかき混ぜ。
一口ゼリー容器に注ぎ、冷蔵庫へ。
固まるまでどれくらいだろう? とりあえずしばらく冷やすか。
「あと、一口とはいえ結構来るな……」
で、俺はすっかり出来上がってるわけですけども。
椅子に座り、何をするわけでもなくポケーっと時間を浪費して。
水を飲もうと立ち上がったところで、ふらり。
慌てて椅子に座り直し、もうしばらく待つか、と再びポケータイム。
頭の熱が少し治まった頃に再び立ち上がりまして、コップ一杯の水をがぶがぶと。
――よし、復活。
てなわけで、今夜のご飯の最終準備へ。
ホットプレート、ヨシ!! お面が目印の有名お好み焼きソース、ヨシ!
鰹節、ヨシ! 青のり、ヨシ! マヨネーズ、ヨシ!!
全部の確認を終え、後は四人を待つばかりとなった頃。
タイミングよく、目の前には紫色の魔法陣が。
……待ってましたと思う反面、ゼリーをボウルに盛る時間無かったなーと。
――もうこの際、普通に一口アルコールゼリーとしてそのまま食べて貰うか。
なら固めのゼリーにすることも無かったなーなんて思いつつ、姿を現した四人に対し、とりあえず麦茶を差し出すのだった。
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