第246話 明日のお昼ご飯
「ふぅ。……美味かったわい」
「この紅茶は本当に何にでも合いますのね」
「大満足だったな」
「苦いのは気になったが十分美味しかったぞ」
というわけで、紅茶やコーヒーをそれぞれティラミスと楽しみ。
現在食べて一息ついたところ。
にしてもティラミス、美味しかった。
やっぱあのチーズクリームと、噛むとジュワッとコーヒーが溢れてくる生地のコンビって最強だよな。
底に敷かれてこれまたコーヒーを吸ったビスケットのザクザク感も良くてなぁ。
凄くない? コーヒーを染み込ませておいて、その上であのザクザクとした食感を残してるんだよ?
魔法かな?
「よし、それじゃあ持ち帰りの料理を作ろう」
で、一息つき終わったら、ラベンドラさんが俺の番だとドラゴンエプロンを装着しながら立ち上がり。
何をすればとこっちを見てくる。
んだけど……。
「実は、予定してた料理が作れなくなっちゃいまして……」
「なに?」
まさかなぁ……肉が食いつくされちゃうとはなぁ。
この翔の眼を持ってしても、見抜けなかった……。
「まさか……肉を食べきってしまったことが原因か?」
「まぁ……」
そりゃあ察するよね、と。
ただ、それを聞いたラベンドラさんはホッと胸を撫で下ろし。
「ならば安心していい。私達にはまだまだ肉が残っている」
と言って、虚空から肉を召喚。
あ、そっかぁ。
俺の方には無くともそっちにはあるのか。
そもそも俺に渡した肉なんてほんの僅かだろうしね。
「それで? どのような料理を?」
「じゃあ、ハンバーガー作りましょうか」
てなわけでこれからラベンドラさん達のお持ち帰り兼俺の明日のお昼ご飯、ハンバーガーを作っていくぞ~。
まずはミンチ肉を……。
ミンチ?
「あの」
「? どうした?」
「肉をミンチにしたいんですけど」
「? なんだそんな事か。任せろ」
肉塊をミンチに、って言われて、任せろって笑顔で言うのもどうなのよ。
でまぁ、その場でミンチにしようとしたから、
「あ、ちょ、ボウル! ボウル持ってきますから!」
と一旦制止し台所にダッシュ。
で、ボウルを抱えて戻ってきたら、
「すでに終えているぞ」
だってさ。
ミンチになった肉は当たり前に鉄板の上に浮いてた。
なんかさぁ、ことごとくこっちの常識あざ笑うよね、エルフって。
「とりあえずこの中に」
「うむ」
というわけで持ってきたボウルの中にミンチ肉を入れてもらい、
「じゃあ、次に玉ねぎのみじん切りを……」
で、思ったわけです。
さっきのマンドラゴラの中に玉ねぎいたな、と。
というわけで予定変更。
マンドラゴラ使って作りましょ。
「やっぱりこいつをみじん切りで」
今度は冷蔵庫にダッシュし、目が合ったマンドラゴラ(玉ねぎ)を引っ掴んでラベンドラさんに放り投げ。
それをキャッチしたのを見送り、今度は卵と、調味料と……。
必要材料を全部持って庭へ。
ふと、他の三人が何をしているのか見て見ると、
「やはりちょっと痛んどる」
「しょうがありませんよ。神の加護を受けるまではあのダンジョンで小まめな手入れなど出来ようはずがありませんでしたし」
「そろそろ弦を張り替えたい……」
それぞれ持ってる武器の手入れをしてました。
……まぁ、いいか。
家の中ではないし、明らか危険物ばかりでしかないけど。
斧も、チャクラムも、弓も。
「カケル、次は?」
「あ、はい。卵を割って、パン粉を入れて調味料で味を付けて捏ねます」
なんて見てたらラベンドラさんからの催促。
というわけで意識をそちらに。
「これを捏ねればいいのか?」
「です。粘り気が出るまでお願いします」
味付けは塩コショウとケチャップ、ウスターソース。
やや濃いめの味付けにして、パンや野菜と挟んでも味が負けないようにね。
「ふむ」
その間に俺は挟む野菜を準備しますか。
冷蔵庫から引っ張ってきたマンドラゴラ(トマト)を輪切りにし、後はレタスっぽいと思ったマンドラゴラの頭に映えてる葉っぱ。
こいつを千切る。
……一応水洗いしてこよ。
「粘り気が出てきたがこのまま焼くのか?」
「バンズを持って来るのでそのサイズに合うよう形成して焼いてください」
スーパーで見つけたけど、普通にカットバンズなるものがあるんだね。
もう本当に挟むだけの奴。
探してみるもんだ。
「一人三つ想定で買って来たので、それに合わせて……」
「任せろ」
というわけで鉄板にハンバーグが乗せられまして。
焼ける音といい匂いが周囲に充満。
思わずよだれ出るけど、落ち着け。もう胃の容量はパンパンだぞ?
「カケル、一応マンドラゴラにも火を通した方がいい」
との事なので、ハンバーグを焼く隣に、輪切りにしたマンドラゴラ(トマト)や千切って水洗いしたマンドラゴラ(レタス)を並べまして。
焼けたら、バンズに肉、マンドラゴラ(レタス)、マンドラゴラ(トマト)、肉、チーズ、マンドラゴラ(玉ねぎ)と重ねてバンズで挟み完成!!
……なんか挟むの増えてない?
いつの間にかハンバーグも二個になってるし。
「出来たタネの量的に肉を二つにしないと余る」
ほなしゃあないか。
という感じで四人分十二個と、俺用に二つの計十四個。
とは別に何やら渡す相手がいるとのことでラベンドラさん達が追加で二つの計十六個。
特製異世界ハンバーガーが出来上がりまして。
俺は出来立てをどか弁に押し込みましたわよ。
……入れた状態で保温されるんですよね? という事は、明日会社で開けるまでこの出来立ての温度ですわよね?
エルフの魔法ってすげー。
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