第232話 どうしてくれようか……
お昼ご飯……美味しかった。
そりゃあランチジャーなんて商品が売れるわけだよ。
温かいご飯は美味い。QED。
いや、問題はそこじゃなくて、三時間以上経っても当たり前に出来立て熱々だったどか弁はおかしいって話なんだけども。
ここまで来るとさ、他に変な機能が付けられてないか探してみたくなるというか。
おかげさまで俺の昼飯休憩は食後の弁当を様々な角度から観察するって行動に全部充てることになったわちくしょう。
んで、出た結論は――めっちゃ綺麗ってこと。
まるで鏡みたいに曇り一つ無いツルッツルのピッカピカなお弁当箱……。
凄くね? 焼き肉のタレとか一滴も付いてないし、野菜の焦げとかすら付着してない。
まるで洗ってすぐみたいな感じだったよ。
――多分これもあの四人の仕業なんだろうなぁ……。
*
ただいま。という事でね。
買ってきましたよ。
あんなにいいお肉があると来たら、日本人なら誰でもやりたいメニューがあるよね?
その為の材料を買いそろえてきましたよ。
というわけで材料の紹介から。
まず白菜、ネギ、豆腐。こいつらがいないと始まらない。
んでお次はキノコ類からシイタケ、シメジ、エノキ。これらもマスト。
最後に、これを無くしてこの料理は語れない……春菊!
ここまでくれば分かるよね? そう! 本日はすき焼きなり!!
……しらたき、買い忘れたでござる。
ま、まぁ、必須じゃないはずですし? お肉と一緒にすると肉が固くなるとか言われてますし?
誤差だよ誤差。
「んじゃあ、下ごしらえをしていきますか」
作るのは四人が来てからで、どうせ全部任せちゃうから、俺は下ごしらえに全力を出す。
白菜、ネギ、春菊を適当な大きさに切りまして。
キノコ類はまず石づきを切り落とし、シメジはある程度ほぐすっと。
シイタケに飾り包丁……はいいや。俺の全力の範囲外です。
シイタケは軸を落として、エノキは三分割くらいになる様にカット。
そしたら木綿豆腐に焼き目を付けて、焼き豆腐にしていくわぞ~。
んで、焼いてる間に割り下のお準備。
やっと買えた某動画投稿者監修の出汁パックをベースに、醤油、みりん、お砂糖を加えて沸騰させ。
浮いたアクを丁寧に取り除いて割り下完成。
準備終わり。
……うん、デザートだよね。
今日は何と……買ってきちゃったんだなぁこれが。
いや、だってさ、バカデカアーモンドッポイミルクも回収されちゃったし、一からお菓子の素材を買うのって結構よ?
お値段的にも、分量的にも。
あと、俺の手作りスイーツばかりってのもアレだから、一度この世界の本職の味を知ってもらいたかったってのもある。
――帰り道にチョコレートケーキが有名なお店があるのも悪いよ。
しかもショートケーキだけじゃないんだこれが。
結構種類あるから、色んな種類のチョコケーキ買ってきちゃった。
「……今のうちに俺のだけ確保しとこ」
下手に全部を四人に晒すと、取り合いの末に残った一つを俺が食う事になりかねん。
俺は自分で食べたいチョコケーキを買って来たんだ。
というわけで買って来たケーキのご紹介。
まずはオーソドックスこそが王道、ショートケーキ!!
チョコクリームとチョコスポンジに挟まれた苺のアクセントが素晴らしく、乗ってる苺でテンションも上がるケーキ!
子供から大人まで楽しめる奴!! 想定対象はマジャリスさん!
続きましてしっとり濃厚! チョコ好きにはたまらないガトーショコラ!!
ショートケーキがチョコを混ぜたケーキなら、ガトーショコラはチョコで作ったケーキ!
チョコの暴力を味わうがいい!! 想定対象はリリウムさんかな。
「あったあった。俺の」
で、俺が買って来たのはチョコレートチーズケーキ。
珍しくない? チーズとチョコの濃厚な味がマッチした、大満足の逸品ですってよ奥さん。
これは食べないといけませんわ。
んで、お次はシャレオツおケーキのザッハトルテ!
チョコスポンジまではショートケーキと一緒だけど、間に挟むのはアプリコットジャム。
そしてチョコレートでコーティングするという暴挙に出た、不味いはずないだろ案件なケーキですわよ。
外側のチョコはビターらしく、大人なひと時を、とのこと。
想定対象はラベンドラさんかな。似合いそう。
そして最後に登場するのはオペラ!
チョコスポンジやコーヒーのクリーム、ガナッシュチョコなんかを層にしてチョコをコーティングしたものだとか。
名前の由来はパリのオペラ座をモチーフにしたことかららしいですわよ。
コーヒーやチョコの持つ苦みも活かされたこのスイーツは、文字通り大人の味。
コーヒーをブラックで楽しんでたガブロさんにピッタリなケーキだと思ってね。
買ってきたわけですよ。
「後は、コーヒーだとマジャリスさんが渋い顔しそうだから、紅茶も買いましたよっと」
で、ケーキと一緒に頂くのは紅茶。
しかも、世界三大紅茶らしい『キーマン』を購入。
……した訳じゃなくて、姉貴から送られてきたんだなこれが。
リリウムさん達の事を小まめに報告してるんだけど、前に異世界の紅茶を飲んだ話をした時にさ。
「じゃあ、こっちの世界の有名な紅茶も飲んで貰わなくちゃ」
って話しててさ。
そだねー、なんて返事したら、本日送られてきたわけですよ。
……おもっくそ中国語で書かれてるから、恐らく現地で買って送ってきたんだろうな、この紅茶。
写真で撮るだけで翻訳してくれるアプリ様様でしたわ、本当に。
なんて姉貴にも若干の感謝をしてたら、魔法陣が出現。
さて、それじゃあ今日は……すき焼きですわよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます