第217話 オムうなぎライス
問、ラーメンにおいて必須とも言えるトッピングは何か答えよ。
答、味玉に決まってんだろうがはっ倒すぞ。
というわけで煮込み終わった豚肉をタレに沈めたら、味付け煮卵の準備です。
と言っても、ネットで拾ってきた半熟ゆで卵の作り方を参考に、茹で上がったら殻剥いてこちらもタレにぶち込むだけ。
肉と同じくタレに浸しとくだけで後は完成だから、楽なもんだね。
んで、やることがあらかた終わったので、ここからお昼タイムに突入。
「うぇっへっへ、卵ーっと」
これから作るメニュー考えたら変な声出た。
けど、誰も聞いて無いからノーカンノーカン。
まずは炊けたご飯に、タレ塗って焼いたウマイウナギマガイのかば焼きを混ぜてうなぎの混ぜご飯を作成。
これだけで美味いのは知ってるんだけどね。
ここでもうひと手間加えましょう。
フライパンに卵を流し込み、固まったらうなぎの混ぜご飯を乗せて包んでいく。
そう! オムライス!! ただし中身が鰻の混ぜご飯なわけだ。
不味いと思う人!? いる訳ねぇよなぁ!?
で、ケチャップの代わりに残ったかば焼きのタレをかけるっと。
「もう最高! ほんと幸せ!!」
こんな食べ方、普通じゃしないからな。
エビダトオモワレルモノやカニミタイナカタマリの時もそうだったけど、いわゆる高級食材異世界版みたいなものを持って来てもらえると、朝昼の食事がグッと豪華になる。
……量の多さにだけは本当に文句を言いたくなるけど。
それはそれとして、その量を捌くためにまだ知らないレシピとか検索して作って食べるのも、何だかんだ楽しんでるしなぁ。
まぁ、相互扶助と思うことにしよう。
「皮とか内臓とか、欲しい食材が無かったりするのもどうにかして欲しい所ではある」
それが武器や防具、ポーションの素材って話らしいからしょうがないとは思うんだけどね。
それでも、このウマイウナギマガイの肝は欲しかったなぁ。
肝吸い、好きなんだよね。
あと、串焼きにしても美味いし。
「よし、ご馳走さまでした」
奇麗に完食し、洗い物。
これで、食事の準備も今日やるべきことも終わらせたことになる。
こうなったらどうするか……決まってるよね?
「ビバ☆仮眠!! あ~……休日のゴロゴロするこのひと時――幸せちか~」
愛しのベッドちゃんにダイブして人をダメにする抱き枕を抱きしめながら寝る。
これに限るぜ。
*
「ふぅ」
およそ二時間の仮眠で頭スッキリ。
四人が来るまで時間があるから最後の仕上げといきましょう。
まずはタレに漬けてた卵と肉の引き上げ。
漬け過ぎると味が濃くなっちゃうから、ほどほどで引き上げる必要があるわけですね。
今回はラーメンに乗せる前提だけど、これが米と一緒に食べるとかならもうちょい漬けててもいいかもね。
で、肉を漬けてたタレはカエシとして使うので取っておいて。
このカエシを即席の豚骨スープに入れて、醤油豚骨スープを作るわけですね。
「野菜は……ラベンドラさんに任せるか」
あと必要な工程と言えば、野菜を炒めて盛る事だと思うんだけどさ。
全部ラベンドラさんに任せちゃえばいいよね? って事で。
折角なので買って来たドリップコーヒーを優雅に頂こう。
……うん、苦い。
酸味控えめの表記通り、酸味はあまり感じられない。
その代わり、結構苦みとコクがあるな。
……コーヒーゼリーがどんな風に完成したかは味見してないから分かんないけど、まぁ多分ミルクソースで中和できる苦さだと思う。
なお苦いと訴えるなら、生クリームでも絞ってやるさ。
まだまだ冷凍庫に眠ってるからな。
「ハッ!? ウインナーコーヒー!」
その時、俺に電流走る。
生クリームあるなら出来るじゃん。
というわけでコーヒーにお砂糖を少々入れ、その上から生クリームを絞りまして。
冷凍庫から出した直後をパワーで絞ったから、生クリームってよりはほぼアイスクリームみたいなもん。
でも、コーヒーフロートも美味しいし、大丈夫でしょ。
浮いてる生クリームをコーヒーに沈め、スプーンで少しかき混ぜてっと。
「あぁ……美味い」
クリームの甘さとこってり感がコーヒーと混ざり合って最高ですわね。
寝起きの脳みそにカフェインと糖分が行き届きますわ~。
「朝に飲みたいけど、しばらくは和食だからなぁ……」
すっかり飲み干して口から出たのはそんな感想。
まぁ、別にウマイウナギマガイを食べなきゃいけないって縛りとかは無いから、トーストとベーコンエッグとかでもいいんだけどね。
なるだけ早く消化しときたいって気持ちは当然あるわけで。
そこのせめぎ合いをどうするかと悩んでいたら、魔法陣登場。
持っていたカップを急いで流しに置き、特に何も飲んでいませんでしたよアピールをしつつ四人の登場を待つ。
「邪魔をする」
「……? 甘い匂いがするな」
「コーヒーの香りもしますわね?」
「なんじゃ? 先に始めとったんか?」
この嗅覚敏感エルフどもめ。
あっさりとコーヒーを飲んでいたことを看破するんじゃあない。
「別に構わないだろう? 私たちがそもそもお邪魔している立場だぞ?」
「それもそうですわね」
こんな時に頼れるのはラベンドラさんしかいねぇや。
「というわけでカケル、今日のメニューなのだが……」
「リクエスト通り、ラーメンを作っていきましょう!」
「!! 流石だ!!」
目をキラッキラ輝かせて、尻尾あったら千切れる位に振ってるんだと思えるような空気を出してるけども。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます