第172話 リサイクル可能?

 さてさて、本日の晩御飯の為に買い出しは済ませましたし?

 あとは下ごしらえをするだけですし? お寿司?

 先に本日のデザートを……の前に。

 流石に時間が掛かる下ごしらえだけは済ませなきゃね。


「ブタノヨウナナニカとエビダトオモワレルモノはそれぞれ塩を振って……」


 ブタノヨウナナニカは……どれくらいだろう。

 ギリギリ串に刺せるくらいか。

 エビダトオモワレルモノはブラックタイガーとかと同じくらいの大きさに切りまして。

 余分な水分を抜くために、お塩をパッパ。

 トリッポイオニクにもしとくか。

 カイルイフシギキノコは笠と柄でそれぞれいい感じに切っといて。

 あ、シロミザカナモドキにも塩だな。

 臭みの原因となる水分を抜かなきゃだし。

 さて、下ごしらえが終わったらお待ちかね。本日のデザートのコーナー。


「えーっと、まずは卵白だけで泡立てる、と」


 なにぶん作るのが初めてなスイーツだからね。

 レシピをがっつり真似させてもらうぜ。


「んで、泡だったらグラニュー糖」


 グラニュー糖を入れたらまた混ぜて、さっきよりも泡が立つようになったらもう一回グラニュー糖。

 角が立つくらいにまで泡立てたら、卵黄を投入して混ぜり混ぜれば混ぜる時。

 バニラエッセンスを垂らし、容器に入れて冷凍庫へ。

 本日のデザート、バニラアイスなり。


「後は二時間冷やして、牛乳を入れてかき混ぜてもう二時間で完成か」


 シュークリームの時もそうだったけど、基本大変なのはかき混ぜる作業だけだね。

 そこがもう面倒なんだけども。


「よし、んじゃあ粉と衣の準備……」


 とか言ってたらさ。

 固まっちゃった。

 ……俺気付いちゃったのよ。

 デカクカタイタマゴの殻――どうしようって。

 なんと言うか、卵の殻って燃えるゴミ?

 そもそも異世界の卵の殻ってどう処理するの?

 なんて思いを巡らせること数秒。

 結論。


「ガブロさんに持って帰って貰おう」


 思考放棄。

 いや、むしろ正解まであるだろ。

 変に燃やして訳分からん物質とか出てきたらどうすんのって話。

 異世界の物は異世界に返しましょう。

 うんうん、それがいい。


「んじゃあ今のうちに野菜を仕込んどくか」


 というわけで下ごしらえパートダブルツインマークツーセカンド。

 今回は串に刺すところまでやってくわぞ~。

 本日の選ばれしお野菜たちのご紹介。

 天ぷらと言えばコイツ!!

 茄子!! 茄子天好き!! 凄く好き!!

 季節外れだけど手に入って良かった、かぼちゃ!!

 ほっこり甘さが美味いよね。

 歯ごたえのアクセントが最高! レンコン!!

 キノコ類も忘れちゃいけない! 舞茸!!

 天ぷらの陰なる立役者、大葉!!

 あと冷蔵庫に残ってた人参も追加で。


「切って串に刺すだけだから楽だなぁ」


 野菜たちはそれぞれ串に刺さる分厚さに切って串に刺し。

 肉や魚介類たちも同様に。

 あ、ちゃんと表面に出てきた水分はキッチンペーパーで拭き取り済みね。

 今のうちに衣も準備しちゃおう。

 本日買って来たてんぷら粉はコレ!!

 コツのいらないてんぷら粉! 

 商品レビュー見てもかなり評価高かったし、水だけで作れるのもポイント高い。

 薄衣で奇麗に揚がるんだってさ。

 日本の企業に感謝だね。


「えーっと、電気フライヤーはっと」


 ちなみに天ぷらとはいえ、俺が揚げる訳ではもちろんなく。

 テーブルで、電気フライヤーで各々に揚げて貰う所存。

 こんな事もあろうかとはマジでこれっポッチも思ってなかったけど、電気フライヤーの大きいやつをたまたま買っててさ。

 串揚げしながらビール飲めたら最高だよなーとかボーっと考えて、ボーナス出たから買ってたんだよね。

 ……押し入れから引っ張り出すくらいの使用頻度になっちゃったけどもさ。

 でも、おかげでこうしてみんなでワイワイやれると考えたら、そう高くない買い物だったのかもね。

 少なくとも、ガブロさん除いた三人は顔が滅茶苦茶いいわけで。

 イケメンでも美女でも、顔がいいやつと囲む飯は美味い。

 別にガブロさんだけでも不味くはならんが。


「一応、一回洗っとくか」


 そんなわけでちゃんと動いてくれるかという実験の為、一度全部分解して洗いまして。

 油を入れて起動してみたら……うん、大丈夫。

 問題なく使えるみたいだ。

 そもそも買ったの去年とかだからな。

 そう簡単に壊れるものでもあるめぇよ。


「あ、アイス忘れる所だった」


 しっかり冷やし終えたアイスを取り出し、牛乳を加えてしっかり混ぜて。

 また冷凍庫にぶん投げたところで、四人が登場。


「何事だ?」

「儀式中だったか?」


 テーブルの上には串に刺さった食材たち。

 真ん中に電気フライヤーが鎮座し、既に油は高温状態をキープ。

 その近くに、でっかいボールに作られたてんぷら粉……と。

 誰が儀式中じゃい! 大体、日本人の儀式というのは合掌からの礼拝だと相場が決まっとる。

 怪しげな道具も呪文も必要ないの!


「違います。食事の準備中だったんですよ」

「なるほど。手伝おう」

「いえ、もう終わりましたけど……」


 ドラゴンエプロンを装着しようとしてたラベンドラさんの動きが止まる。

 そして、数歩後ずさった後、分かりやすく落ち込んだ。


「無視でいいですわ。それで? 今日のご飯というのは?」

「あ、はい。えっと、天ぷらって料理でして」


 ドライな反応をしたリリウムさんに従い、料理の説明へ。

 食べるまでの手順を説明したら、ラベンドラさん、復活。

 新しい料理に対する好奇心が勝ったみたい。

 拗ねる心よりも、さ。

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