第151話 筋肉痛は遅れてくる
カレーは何食連続でも美味い。
なお、一度どれだけ連続でカレーを食えるかチャレンジをしたら、四日目くらいでげんなりした。
つまり俺の限界は大体二桁になるかくらい連続で食べたら、という事らしい。
まぁ、もうそんな事二度とせんがな。
というわけでお昼はコンビニで買って来た金のハンバーグ。
ご飯を耐熱皿に盛り、真ん中にハンバーグ、周りにカレー。
そこに嘘でしょ……と静かに呟かれるくらいにチーズを乗せてオーブンで焼いた、チーズハンバーグカレードリア。
和風な風味のカレーが合うんですわ。
とてもとても。
「ご馳走さまでした」
ふぅ、美味しかった。
……さてさて、それじゃあ晩御飯の準備だけしといちゃいますか。
本当は作っておきたいんだけど、それするとラベンドラさんが大変な事になるからね。
この間は膝から崩れ落ちてたし、果たして次はどうなっちゃうやら。
……ちょっと興味あるな。
いや、やめとこう。なんと言うかこう……怖いし。
「そうと決まれば買い物……かなぁ」
冷蔵庫の中身をチェックして……と。
う~ん、買い出しに行った方がよさそう。
よし、行ってくるか。
*
帰宅っと。
買い物、全然嫌いじゃないからさ、いつもその日に使う材料しか買って来ないのよね。
なんと言うか、楽しくない? こう、スーパーとかに並んでる商品見るの。
季節ものが出てたり、特売品が毎日違ったり。
見切り品とか、結構好きですわよ。
まぁ今日は、どうしても欲しかったお目当てのものを探しにデパートまで行きましたけども。
少し高くついちゃったけど、仕方ない。
削られてない鰹節なんて、今時珍しいし。
そいつを二本ほど買ってきましたよっと。
一本は俺が使う用。もう一本はラベンドラさんへのプレゼントね。
こう、向こうの事情は知らんけど、多分無いでしょ、鰹節なんて。
「さて……と」
そしたらまずは……ニンテイタコカイナの処理を終わらせときましょう。
そうそう、本日のメニューはタコ飯にカクタコ、タコの桜煮、お吸い物となっております。
で、お吸い物だけはインスタントを使う、と。
下手に自分で作るより美味しいんだもん。しゃーない。
そしてこの中で一番下準備が必要な料理と言えば……そう、桜煮である。
タコを軟らかく煮る。これがまぁ中々中々中々に? 大変なわけですよ。
ただし俺の手元にあるのは人類の英知の結晶。
そしてそれに唱える呪文ももちろん知っている。
教えて! グーグル先生!!
まぁ、今回は調べなくても知ってるんだけどさ。
「えーっと、大根大根っと」
大根で叩くと良いらしいですわよ?
というわけで、大根を半分に切りまして。
その断面を下にして、塩揉みして洗ったニンテイタコカイナへ振り下ろす!
ちなみにニンテイタコカイナはそのままだとデカすぎるから成形した。
もちろん、俺の良く知る常識的なタコの足の大きさくらいに。
多少太さにブレがあるのはご愛敬。
なるだけ皮の部分が見える様に成形したけど、一部分にしか皮が無いのは違和感あるな。
よし……それじゃあ――。
恨みを込めて! 美味しくなぁれと!! 最近のソシャゲでSSRが引けないのは貴様のせいだと!!
ただひたすらに打つべし!! 打つべし!!
――ふぅ。まぁ軽く十分ほど。
満遍なく叩いて、ニンテイタコカイナも心なしか反省しているようなのでこの辺に。
これで一本がようやく終わりっと。
……最低でも人数分、あと四本。
――あの人たちには一本じゃ足りないだろうから、もう一本。
計八本か。
……明日筋肉痛か。――いや、明後日だな。
年取るとね、筋肉痛が遅れてくるのよ。やになるよね全く。
*
はい、というわけで叩き終わりました。
そしたらこいつはボウルに移してラップして冷蔵庫。
続いてカクタコとタコ飯のお準備。
ここで取り出したるは鰹節削り器。
珍しいよね、うん。これだけは自覚あるわ。
文字通り鰹節を削るためのものなんだけど、俺自分の家以外だと動画やサイトでしか見たことないもん。
というわけで先程買って来た鰹節をこいつで削りまして。
水に戻した昆布を水ごと鍋にぶち込み、火にかけて。
昆布は沸騰直前で取り出し、出て来たぬめりを取り除く。
そこに削った鰹節を入れて、俺流適当黄金だしを取っていくわぞ~。
で、ダシが取れたら漉しまして、しっかり絞ってうま味を搾り取っていきます、と。
ダシを取った後の鰹節と昆布はタコ飯の具にする予定なので、昆布を細かく刻みまして。
人参、ごぼう、生姜を細かく刻んでこいつらも具材。
そしたら、ニンテイタコカイナを先程の出汁で一度煮て、火通しと出汁取りの両方を済ませていく。
タコの出汁って美味しいからね。こいつらもぜひ出汁に出したい。
「ちょっと味見」
で、茹で上がった後に先端を少しだけ切って味見をしてみたら。
「あ゜。」
変な声出た。
うめぇの。うめぇよ!
カツオと昆布の合わせ技なのか、口に含んだ瞬間にフワッと風味が広がってさ。
タコのうま味が大群になって押し寄せるの。
魚群なんて目じゃないね、信頼度90%はある。
いーやうめぇわ。
こりゃあ今から期待がMAXですわよ。
という事でタコ飯用ぶつ切りと、カクタコ用気持ち大きめぶつ切りにしまして、下準備の完成。
あとは、ラベンドラさんと一緒に調理しましょ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます