第117話 クラム? チャウダー
うぅむ……。
よくよく考えたら牡蠣の調理法をあまり知らんな。
結局生で食えるならそれが正義だし、生で食べられない鮮度なら基本フライにしちゃうし。
クラムチャウダーは今から作るとして、それだけじゃあ絶対に使い切らないし。
他に何かないか、探すとするか……。
とはいえ今日はクラムチャウダーを作っていくわぞ~。
まだるっこしいルゥを作ったりはもちろんしない。
市販のクラムチャウダールゥを使わせていただきます。
タイムイズマネー。……エルフの連中に通じるかは分からんけども。
「まぁ、下準備だけ済ませとくか」
例によって調理はラベンドラさんとするだろうし、今のうちに出来ることをする所存。
人参玉ねぎジャガイモをそれぞれ洗って皮剥いて、好きなサイズにカット。
ベーコンも同じくカットして、と。
ここで本命の柄キノコと笠キノコもたぁーっぷりと切り出しておく。
……ベーコン、薄いやつじゃなくてブロックのやつを買って来てるんだけど、これ凄く食欲をそそるな……。
ちょっと焼いてつまみ食いしたいかも……。
なんて、意気揚々とフライパンを温めていると――。
「カケル、邪魔するぞ」
魔法陣が出現し、四人が登場。
チッ! ベーコンをつまみ食いし損ねた。
命拾いしやがったな。次はこうはいかないからな!
「今日の食事はなんじゃい?」
「クラムチャウダーっていう料理です。たっぷりとあのキノコを使いますよ~」
キノコ(海鮮)とかいう脳みそがバグりそうな食材だけど、まぁ、美味しいし。
何より、牡蠣とホタテ――そっくりなものが大量に入った料理が不味いはずなくね? って事で。
いつも通りにドラゴンエプロンを付けたラベンドラさんが寄ってきたので、いざ、料理手順の指南をば。
「ああ、そうだ。カケル、先に容器を返しておく」
と、ラベンドラさんから渡されるのはのり弁が入っていたどか弁の容器。
軽く洗ってなんて言ってはいたけど――、
「うぉっ!? まぶしっ!?」
光源か? と思うほどに光り輝くほど洗えと誰が言ったよ。
というか、洗うとかいう次元じゃないでしょ。磨くのさらに上だろこれ。
「わしらの持てる力を全て注いだぞい」
「他に二つとないお弁当箱になっていますわよ」
「是非とも普段使いしてくれ」
なんて言われたけど、どか弁とか使う事無いんだよなぁ……。
今後ラベンドラさん達にお弁当を持たせるときに使う位か。
まぁ、とりあえずは片付けておこう。
「それで? まずは何から始めればいい?」
「あ、まずはバターでベーコンを炒めます」
というわけで調理開始。
まずは食いそびれたベーコンをたっぷりのバターで炒める作業から。
一瞬で家の中にバターのいい香りが充満したよ。
んで、笑っちゃうことにラベンドラさん以外の四人のお腹がほぼ同時に鳴り響いた。
……うん。俺もなんだ、すまない。
「そしたら白ワインを加えてアルコールを飛ばして……」
「ワインじゃと!?」
うん、本当にお手本みたいな反応するねガブロさん。
マジでドワーフって酒なら見境無いのな。
――料理酒を飲みたそうにしてたから今更か。
「後で少しあげますから、大人しくしといてください」
「分かったわい」
この時、ガブロ、意外に素直。
まぁ、酒さえ貰えればって事なんだろうけど。
「そしたらあらかじめ切ってた野菜たちを入れて、ある程度炒めます」
「具体的には?」
「玉ねぎが透き通る位ですかね」
「分かった」
あー……指示出すだけって楽だなぁ。
ラベンドラさん、手際良いから変な心配もないし。
比べるのがアレだけど姉貴とは大違いですよ。
本当に比べるのが可愛そうだけども。
「玉ねぎが透き通ったら水を入れて、キノコも入れて野菜が柔らかくなるまで煮込みます」
「箸が抵抗なく刺さる程度でいいか?」
「はい。それで問題ないです」
というわけで特に何か起きる訳でもなく。
流石に野菜類と一緒に煮込めばカイルイフシギキノコも問題ないでしょ。
で、牛乳を追加して煮込んだものがこちらです。
もうこの時点で何故か美味しい匂いがしてるんだよね。
カイルイフシギキノコから出汁でも出てるのかしら?
「後はルゥを入れて完成ですね」
というわけで市販のクラムチャウダーのルゥを投入。
ついでに隠し味の味噌を極少々。
ルゥをしっかり溶かしてよーくかき混ぜたら、完成!
……ちょっと待て、俺は閃いたぞ?
この完成したクラムチャウダーに、更にチーズを入れてしまおう!
ふははは、なんて悪魔的発想!
というわけで冷蔵庫から取り出したるは、なんかよく分からんけどチーズ!!
カレーとかの時にご飯にかけるアレね。
そいつをポイッと投下。
「ほう。チーズか」
「ルゥに入ってるとは思うんですけど、多くても困らないと思いまして」
というわけで完成したのは、牡蠣っぽいキノコの笠とホタテの貝柱っぽいキノコの柄が大量に入ったクラムチャウダー。
言うなれば、ただのクラムチャウダーじゃない。
ド級のクラムチャウダー――ドラムチャウダーだ!!
「あ、ちなみに今日はバゲットを焼きますけど、ガーリックトーストを希望の方~?」
……ひぃ、ふぅ、みぃ――全員と。
それじゃあ、ガーリックトーストを焼いて、食べていくとしますか。
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