第34話 四色タルタルソース
「う~ん……これは……」
現在俺は質屋に来ていた。
理由はもちろん、リリウムさんから受け取ったブルートルマリンの売却。
――だったんだけど……。
「ブランド名もありませんし、宝石の質はいいんですけど……」
査定をしてくれた人の歯切れは悪い。
まぁ、言われた通りブランドなんて書いてあるわけ無いしね。
異世界産だし。
ましてや加工済みのリングだしね。
ブランド書いて無いと安くなるのも当然っちゃ当然か。
その為のブランドみたいなもんだろうし。
一応、しっかりと査定してくれて買取金額も出してもらったけど……。
う~む。想像よりもずっと安い。
……別に今すぐお金が必要ってわけでもないし、まだ売らないでいいかな。
という事で売らずに帰宅。
まぁ、別に持っておいても困らんでしょ。
もしかしたら今後使うかもですし?
俺に春が来るかもしれませんし?
……なお、予定はない模様。
べ、別に泣いてなんかないやい!!
*
「さてさて、んじゃあまぁ気合入れてやってきましょうか」
ようやくの休みの日。
そのお昼。
気合を入れて夜の食事の為に準備を始める。
と言っても、そんなに手の込んだことをする予定はなく。
まずは大量のゆで卵を作る作業から。
タルタルソースを久しぶりに自作する事にし、材料もしっかりと買って来てある。
たまに自分でタルタルソースを作るけど、割と簡単に出来て楽しいよ?
市販のソースとはまた違った味になるしね。
さてさて、卵を茹でている間に材料を切ろう。
まずは玉ねぎ。親の仇のようにみじん切り。
続いてピクルス。同じくみじん切り。
玉ねぎは電子レンジで加熱しとくよ。生だと結構刺激強いからね。
「もうそろそろか……」
茹でている途中の卵を一つ取り出し、冷水に晒して粗熱を取り。
殻を剥いて、マヨネーズをかけてガブリ。
……完璧な半熟ゆで卵だぁ。
――ただのつまみ食いです。タルタルソース作りには本来不要の工程です、はい。
というわけで火を止め、残りは余熱で調理。
その間に材料の用意の続き。
普通なら後はパセリも細かく切って、混ぜて完成なんだけど、それだけじゃつまらないよねぇ?
というわけで、こんなものも用意してみました。
じゃん! 紅ショウガとらっきょう、それからたくあん!
ピクルスの部分に代わりに入れてみようと思ってさ。
美味しそうじゃない? どれもこれも。
というわけで紅ショウガとらっきょうの水分をしっかり切り、みじん切り。
もちろんたくあんも。
それでそれで、そろそろ出来上がったゆで卵を全部冷水に晒しまして~。
イヤホンをセット! 音楽の準備OK! というわけで、全部の卵の殻を剥き終わるまで……カット!
*
はい、剥き終わりましたっと。
あとはボウルを四つ用意し、卵を等分ボウルに入れて。
刻んだ玉ねぎとパセリをぶち込み、それぞれのボウルに刻んだピクルス、紅ショウガ、らっきょう、たくあんを投入。
そこにマヨネーズを絞り入れ、レモン果汁をちょろっと入れて。
フォークを使い、卵を押しつぶしながら材料を混ぜ合わせていく。
マヨネーズが足りないと思ったら適時追加して、親指の付け根辺りが痛くなってくるころ……。
「ふぅ。こんなもんか」
市販のタルタルソースよりも卵がゴロゴロとした、自家製タルタルの完成。
ちょっと味見。
「う~ん。……これはこれで美味しいけど、もう少し何か欲しいな?」
という事でアレンジ開始。
ピクルスの入ったポピュラータルタルにはブラックペッパーを投入してピリリとした刺激を。
紅しょうが入りには蜂蜜を垂らし、マイルドな感じに。紅しょうがの酸味が後から効いて、かなり後を引く味になった。
らっきょう入りには刻んだ大葉を入れて和風タルタルに。ついでに醤油を一垂らし。
ちなみに垂らした醤油は九州産の再仕込み醤油。
過去に友人がプレゼントとして送ってくれたんだけどこれがまた美味しくてさ。
角のないまろやかなうま味と風味で、しょっぱさが無いんだよね。
醤油の味と風味が強く楽しめて、貰った分を使い切った後も通販で買ってるよ。
マジでなんにでも合う。九州の醤油だからちょっと甘めだけど、それがまたいい。
というわけでタルタルにも合うだろうと思った次第。
まぁ、マヨネーズと醤油が合わないわけはないので、勝ったなガハハって感じ。
最後にたくあん入りには粉チーズを混ぜてコクを追加してみた。
意外な組み合わせだけど、チーズって漬物系と結構合うんだよね。
いぶりがっこチーズなんて居酒屋の定番メニューにもなる位だし。
というわけでこれらを混ぜ合わせて特製4色タルタルの完成。
さて、お昼にしよう。
適当に切ったエビダトオモワレルモノを塩茹でにし、丼にご飯を盛って。
茹でたエビダトオモワレルモノをご飯の上にドーン!!
んで作ったばかりのタルタル――らっきょうと大葉の和風タルタルだな、をドサッと乗せて。
――掻っ込む!! エビタルタル丼。バカみたいに美味かったです。
ご馳走さまでした。
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