第10話
滅竜都市にあるアスカロン学園。
それは竜の整体を学び、竜に対抗する為に滅竜冒険者を育成する、世界最大の学園。各国から集められた少年少女らは、富を得るために、名を売るために、未知なるモノを手に入れるために、そして竜に復讐する為に集まってきている。
その中に、大きなリュックを背負いながら都市に入る少年がいた。今年で16歳になった、アリスは前世に通えなかった学校に憧れと期待を抱いていた。
「兄ちゃん!入学試験者か?」
俺が周りをキョロキョロと見渡していると、レザーエプロンをかけている、大男に話しかけられる。
その男の後ろにある建物を見ると、どうやら鍛冶屋のようだった。
「剣士か?」
「んー、まぁそうですね」
「なら、武器見ていかないか?今朝いいのを入荷したんだ。試験前に慎重するのも悪くねぇぞ」
「おー、確かに」
今腰にさしているのは、刃こぼれしている鉄の剣だった。学園都市に向かう道中に、山賊と一戦してしまったせいか、無理な使い方をしてダメにしてしまっていた。
「なら、見ていきます」
「おう!珍しい剣の形もあるぞ」
珍しい剣の形か...うん、日本刀だと嬉しい。俺が普段使っている型と剣じゃ合わないんだよな。
だから、剣をすぐにダメにしてしまう。
確かに店内にある剣は、どれも普通の剣ではなかった。店主は飾られている剣の説明をする、両刃の曲剣ショーテル、刀身のゆらめきが炎の様に見える波打った大剣フランベルジェ、円盤の外側に刃チャクラム。
いや、チャクラムって剣なのか?
「ん?槍もあるじゃないか?」
「あー、これはな...」
にしても穂のない鉄の柄だけの、異常に長い槍。
店主はそれを手に取ると、槍が3つに分かれたのだった。
「槍なのかと思ったが、全然違ってたんだ。モーニングスターの様に扱えばいいのかと思ったが、それにしても使いずらい」
その、モーニングスターってのはよく分からないが、これは三節棍だな。うん、母が使ってた武器だ...あっ、ラーラじゃないぞ。前世の話だ。
俺が使う流派である月華琉とは薙刀が起源と言われている。あまりにも破壊力のある月華琉は、よく得物を壊してしまう。その時に薙刀から三節棍に合わせられた月華琉を完成させた者がいる。それから年月を重ねて、今の日本刀に合わせられたのだった。
使い方は全然の時に少し齧ったことがある程度。
「それ貸して下さい」」
「おっ?使い方を知ってんのか?なら、広い場所がある、そこに行こう」
店主の案内により、大きな広場に向かう。
「あそこに打込台がある、好きな様に打ち込んでくれ」
俺は三節棍を振り回して、打ち込んだ。
店主はホォーっと関心するかな様な声が溢れていた。そして、三節棍を真っ直ぐに打込台に向ける。
「
槍の様に打込台を貫いた。
「すげぇな、兄ちゃん!そんな使い方すんだな」
「...これ、いいな」
普通の剣より頑丈だ。
力は加減はしているが、ヒビすら入らない。
「これいくらですか?」
「そうだね。どうせ、使える奴なんてそうそういないし安くするぜ!2万Gだ」
「ありがとうございます。それと、剣も見てみたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、是非見てくれ」
こんなにいろんな武器がある、もしかしたら刀があるかもしれない。だが、その願いは叶わなかった。どこにも日本刀の様な剣はなかった。サーベルはあるが、持った感覚は全然違う。だが、一つ気になる武器があった。
「これは?」
「あー、それは今朝なんか紛れ込んでた奴だ。形的にマチェットだと思うが...状態は売れたもんじゃないな」
ブレード長は、おおよそ28センチぐらいだろうか。背の部分はノコギリのようなギザギザとなっていて、先端は折れている。そして、売り物としてはあまりにも錆びていた。
「...」
だが、六道眼から感じ取れる異様な魔力が溢れ出ている。刃の方を触っても、切れ味はない。だが、何か特別な剣じゃないのかと感じた。
「これも買います。これはいくらですか?」
「えぇ?それ買うのか?んー、まぁこっちとら嬉しいんだが...3千Gだな」
「分かりました。ちょうどで」
2万3千Gを支払って、店を後にする。
まぁ、これも多少は日本刀代わりになってくれるだろう。まずは入学試験だ!ここを合格しないと、入学できないからな。
アスカロン学園には、入学試験が存在する。
筆記ももちろんだが、一番重要なのは実技の方である。いくら頭が良くても、竜を狩るには実力が必要とされる。
試験ではガイの様な魔検持ちやラーラの様な剣級持ちは重要視されているが、あいにく俺はどっちも持っていない。まぁ、学園に滞在中でも学園から申請すれば受けられる。
「...」
俺は学園に向かっている途中、ある人物に目が止まる。赤く靡くサイドテールに、金色の星形の模様が浮かぶ赤い瞳の少女、あまりにも美貌に息を飲んでしまった。
「あの!」
「...んー?」
思わず声をかけてしまった。
「名前を聞いても?」
...うん、ナンパみたいになっちゃった
第十話 『学園都市』
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