第3話
正直言って、前世の事は忘れたい事が多かった。
俺を人として見る者が少なく、化け物と恐れられていた。俺は平和に暮らしている日本人ではない。俺の家系は陰陽師の家系である。
「影法術」
それが俺の力...いや、代々受け継げられている呪われた力。その呪われた力の事を呪力と言う。この世界で言うなら魔力だ。
だがこの力を受け継ぐには、体内に呪具を埋め込まないといけない...
「もしかして!」
俺は来ていたシャツを脱ぐ。
右肩には、ムカデが絡みつく様な呪印が浮かび上がっていた。
最悪だ...前まではなかった...俺が力を使ったせいで、浮かび上がった。迂闊だった...こんなのなんて説明すればいいんだ...
「いや」
確か、無属性魔法の一覧に丁度良い魔法がある...
「名の無き神よ、愚かな私の罪の色を見逃してくれよ。第一階魔法『
この魔法は、相手に見せたい色を幻術として嘘な事実を見せる魔法。一見使い道も無さそうな魔法だが、この呪印を俺の肌色に変えれば見えないだろう。
「さて」
俺は影の力を使い、一番上の棚にある本を取った。
上段の本は、全て魔導書である。右から炎属性、水属性と全ての属性が並んであるが、俺はその属性が使えないので、無属性魔法の魔導書を手に取った。俺はその本の内容を読み上げる。
「へぇ、無属性魔法にも2種類存在するんだな」
誰でも扱える一般系と特別な魔法を扱える特別系。
「空間魔法や時間魔法...面白いな」
そして特別な魔法は全員が使える訳ではない。
特別な魔法を扱えるのは、ほんの一部の人間しかない。それを調べるには魔法陣に魔力を流さないといけないらしい。
「この魔法陣だろうな」
本にある魔法陣に魔力を流すと、その魔力が自動的に魂に刻まれている特別な魔法が発現すると。
それは魔法陣に触れて、魔力を流したのだ。
「?!」
ビリリッ!
全身に紫色の稲妻が走る。
なるほど、どうやら俺には特別な魔法があるらしい。それが雷だと分かったのだ。
これは丁度良いな。前に雷遁陰陽師と戦った事があるが、めちゃくちゃ強かった。スピード、破壊力が凄まじかった記憶がある。
「あっ」
ほんの少し雷を発現したのに、また魔力枯渇してしまった。だが、今回の魔力枯渇は前回よりも酷い。俺は眠るように気絶してしまい思わず後ろに倒れてしまった。
「...う?」
次に目を覚ますと、俺はベッドの上にいた。
「あ!アリス!大丈夫?」
横には心配そうに見ていたラーラがいた。
どうやら気絶した俺を、見つけてベッドの上に運んでくれたようだ。
「本を取ろうとして倒れちゃったんだね」
俺が気絶し周りには本が散らばっていた事に、俺が本を取ろうと、思わず足が滑り転んだと勘違いしているようだ。3歳になったばかりの子供が魔法を使ったと考えにくいだろう。
こんな子供が魔力枯渇をしているとバレたら、心配し監視されてしまうだろう。次はバレない様にしよう。
ーーーーー
それから半年の月日が流れる。
俺は隠れて、魔法の特訓をしていた。少ない魔力を増やすには、魔法を使い続けて魔力を鍛える。そうやって増やす特訓をしている。この特訓は俺が考えた特訓であり、本には魔力を増やす事は書かれていない。根拠はないが、魔法を使いづければ魔力が上がると考えている。
だが、どうやら正解らしく。半年前より比べれば魔力量は増えている。半年前までは数秒の
そしてもう一つの魔法特訓は雷。
雷の魔法が書かれている魔導書がなく、詠唱などが分からなかったが、どうやら詠唱はあくまで補助であり、魔力の流れと想像力が大事。詠唱が無くとも、雷を発現する事は出来た。
炎属性魔法の魔導書にあった、
「マジかよ。エグい威力だな」
高速で飛んだ雷の玉は岩に激突し、砕け割ったのである。前にガイにお願いして
ちなみに魔力の流れは普通は見えないが、ガイから受け継いだ六道眼は魔力の流れが見えるらしい。なんて便利な瞳なんだ。
待てよ?魔法は想像力が大切なんだろ?魔力の流れさえ分かっていれば...
「...やっぱり」
詠唱もしていないのに、身体に
第三話 『雷の魔法』
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