第2話
俺の名前はアリス=カグラビュール。
母親譲りの白髪に、父親譲りの赤い瞳。だが、渦の様な同心円系の様な模様の瞳は、普通の目ではないと最近分かった。どうやら、この世界の俺の父親であるガイの血筋から、特殊な瞳を持って生まれてくる事がある。それを世界五大美眼の一つ、六道眼と呼んでいた。
名前の響きは嫌いではないが、厨二病臭いな...
そして俺は3歳を迎えて、読み書きをある程度できる様になった。他の子供と違って成長が早いと、ウチの両親は天才だとか、浮かれているが...頭は良い方とは言えないが、これでも中身は元20歳のある青年だ。
ここ最近ハマっている事は、筋トレである。
一年前に、木剣を持ち上げられなかった事が、あまりにも情けなかった。そして、もう一つは本を読む事だ。父であるガイが読書家なのか、溜め込んでいる数十も超える本が、2階のある部屋に仕舞われているのを発見した。
この世界を良く知りたいと、勝手に潜り込んで本を1ページずつ、じっくり読むのだった。漫画以外の文字だけの本を読み慣れていない俺は、読むペースは遅い。
...実に情けない
だが、実に面白いモノばかりだ。
特にこの世界図鑑と魔導書が面白かった。地理とか社会が嫌いな俺でも、読みやすい教本である。
この世界は、元故郷である地球よりも複雑な構成をしている。まず人間が生活圏にしている『人間界』、それを囲む様に人間が住むには険しいと、竜種が生活圏にしている『竜界』、さらにそれを囲む様な未知なる世界、この世界が球体であるなら人間界の反対側にある『暗黒界』と3つに分かれている。
そして人間界だけでも、主に7つの大国が存在する。今俺達がいる国は魔法も科学も両立しているネレス王国だ。
そしてさらに興味を抱いたのは、この魔法の事が書かれている魔導書入門編だ。1階層魔法から2階層魔法までと書かれているが、多分これは魔法の階級だろう。数字が多いほど、強力で難しい魔法だと予測する。まぁ、漫画の様な設定に近いだろう。魔法の種類は数多く存在しているが、大きく分けて7種類の魔法が存在している。
・炎系統を操る炎属性魔法
・水系統を操る水属性魔法
・風系統を操る風属性魔法
・土系統を操る土属性魔法
・闇系統を操る闇属性魔法
・光系統を操る光属性魔法
・他に該当しない無属性魔法
属性によって特性も違って、相性もあると言うらしい。そして、魔法を発動するのに必要なのは魔力という存在だ。
この世界の空気には、酸素や二酸化炭素などの他に魔素と言うのが存在している。それを吸収して、人間の体内にある魔力を蓄えて、それを消費して初めて魔法が使えるそうだ。
人によって吸収量も違うし、体内に溜められる魔力量も違うらしいのだ。そして、魔力の他に魔法を発動するのに、詠唱と言うモノが必要だ。一度、ガイが詠唱しているのを見たが、自分がやると考えると少し気恥ずかしいモノだ。
俺はパラパラと本を捲ると、見覚えのある詠唱が目に入る。それは、ガイが料理中に使っていた魔法だ。俺は魔法と言う存在が気になり、片手に本を持ちながら詠唱を唱える。
「水の神よ、我が罪を流す水を与えよ。第一階魔法『
何故か発動しない?もしかして、やり方が間違っている?それとも、俺に魔力と言うモノがない?と考える。だがどうやら、そうでもないとすぐに分かった。魔法には、人との得意不得意なのがあり、属性によって使えないモノと使えるモノがあるらしい。
なら、俺は王道な炎属性を使ってみようと、第一魔法の炎属性の一覧を見る。
「炎の神よ、我の道を照らす炎を与えよ。第一階魔法『
それでも何も起こらなかった。
他の属性を確認するが、手からは魔法が発動しなかった。
もしかして、俺って魔法が使えない?
「いや!まだ無属性魔法がある!」
無属性魔法には色々あるが、第一階魔法にはロクな魔法がなかった。なら、使えそうな第二階魔法の、身体を強化してくれる魔法を使ってみよう。
「名の無き神よ、我に勇気の力を与えよ。第二階魔法『
身体が光ったと思ったら、身体が軽くなった様な感覚がした。近くにあった、机を持ち上げようとすると、3歳の子供が軽々と持ち上げられたのだ。
「これが魔法か!...」
だが急に机が重くなり、手を離してしまった。
すると目眩がして、その場で座り込んだのだ。どうやら、これは魔力枯渇と言って、魔法を使えすぎて、体内にある魔力を使えきったモノだと言う。
「気持ち悪い」
頭痛と吐き気がひどかった。
数十分は、その場から動ける様な状態ではない。
だが、頭痛や吐き気が治る。
「はぁはぁ、俺ってもしかしてあまり魔力がない感じか?」
ほんの数秒の強化で、魔力枯渇してしまった。
もしや、魔力が少ないと考える。
「まぁ、こう言うのは使って使って増やすのが相場だろ。これから増やしとけば良い...魔法っておもろいな。この魔法と
そして、俺は魔法と違った感覚で力を入れる。
試し感覚で行った事から、両手を纏う黒い物体を見て驚いたのだ。
「...嘘。普通に使えるやんけ」
第二話 『魔眼を生まれ持つ者』
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