六災の魔女
ちゃんユウ
今宵を照らす月は、影が喰らう
第1話
「アリス=カグラビュールここにて死刑を決定する。そいつの首を切り落とせ」
「...」
さて、ここをどう切り抜けよう。
冒頭早々、主人公である俺の死刑が決定してしまった。うんうん、最悪だねー
さて、ここまで何が起きたのか、なぜ死刑になったのかお話をしようか。うーん、そうだな。
まずはこの世界に転生した16年前から話を遡ろうか。
『化け物がぁ!!』
その言葉が脳裏によぎる。
そして俺は目を覚ますと、それは知らない天井であった。こちらと覗き込む白髪の女性がいた。
「(...誰?)」
こんな人物は知らない。だが少なくとも言える事は、もの凄く美人だった。そしてその者の横には、黒髪の男がいる。どことなく自分に似ているが、眼鏡の奥には目つきが悪い、だがその割には優しそうな表情を浮かべる。
「〆〆〆〆〆〆」
何語だろう?俺は日本語と英語以外は良く分からない。多分どっかの言語だろう...一体俺は何をしている?っと立ち上がろうとするが、身体が物凄く重く感じる。
「あうー...う?」
俺の手ってこんな小さかったっけ?...
「〆〆〆〆〆〆〆」
「〆〆〆〆」
女性の問いに、男性を答える。
だが、さっぱり何言ってるかは分からない。それに俺の目ってこんなに悪かったか?目の前の景色がほんの少しボヤけている。
「?!」
男性が俺を持ち上げた。
筋肉質な腕であるが、俺を軽々と持ち上げた事に驚きを隠せなかった。
「...?」
だが、近くにあった鏡を見て、俺の変化に気付いたのだ。俺を持ち上げている男性の両腕の中には小さな赤ちゃんがいた。そう、その赤ちゃんは俺だった。俺は生まれ変わったと、数時間後にその事実を呑み込んだのだ。
あれから2年の月日が流れた。
ここは日本じゃない、どっかの国の子供として生まれ変わったのだ。2人の会話...いや、俺の母親と父親から少しずつ言語を覚えてきた。
この地域は田舎だ、外の周りを見渡すと住宅より畑が広がっていて、遠くから山が見える。
そして、相変わらず母親は木剣を持って庭で振り回していた。前世と比べれば日常茶飯事であるが、普通の家庭と考えると、良い年した母親が木剣を持って振り回しているのは変な光景だ。
「アリス、お前も剣を持ってみたいか?」
俺の母親であるラーラを眺めていた、父親のガイは問いかける。俺はその問いにウンウンと2度も頷くのだった。
「(重っ!)」
ガイから渡された木剣を渡される。
そして力いっぱいに持ち上げようとした時、あまりにも重さに後ろに倒れ込んでしまった。
「アリス!大丈夫か!」
「ガイ!アリスはまだ子供よ!何してるの!アリス、大丈夫?頭打ってない?」
俺に木剣を渡した事にラーラに叱られてしまった。
「見た限り、怪我はなさそうだね。良かった...」
「ごめんよ。アリス」
「だ...大丈夫。パパ」
パパ...中身の俺は20歳だから、そう呼ぶのは少し気恥ずかしい。だが、大人と怪しまれられないように子供のように振る舞わないと。
そして時の流れが進み、俺は父親が料理している所を目撃する。
「どうしたんだい、アリス?気になるかい?」
「...う、うん」
ノールックで気づかれた時は、少し驚いてしまった。そしてその後に起きた出来事に、さらに驚くのだった。
「水の神よ、我が罪を流す水を与えよ。第一階魔法『
「え?...な、なにそれ?」
そんなモノは知らなかった。
手が光ったと思ったら、何も無い所から水が流れてきたのだ。
「あれ?魔法を見るのは初めてなのか?これはね水魔法ぬて言うんだ。これでもお父さんは
その、A級
「あはは!アリス、もしかして魔法が好きになったか?」
「うん!教えて!」
「そうかそうか!流石僕の息子だ!でも、まだアリスには速いかな?最低でも後3年、歳を取らないとね」
「そう...」
「あはは!そう残念そうな顔するな!まずは読み書きを覚えるんだな」
「あい...」
残念そうな表情を浮かべている俺の頭に、手をポンポンと叩くのであった。
どうりでここネレス王国のインティウム村とは聞いた事がない国と村だと思っていた。ただただ俺が無知だけであったと思っていた...だが、聞いた事がないのも無理がない。国どころか、世界が違っていたからだ。
そう、俺はファンタジーモノによくある....異世界転生したんだ...なら、俺を化け物と呼ぶ人間なんてもう存在しない。俺は好きなように生きると決めた!
第一話 『その者、降臨』
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