第4話
こんなモノだろう。
あれから半年の月日が流れ4歳と歳を重ねる。
雷の玉...ここは
俺は背中に円を描くように、複数個の稲弾を纏わせる。手の平から発現し真っ直ぐに飛ばすだけなら、相手に読まれるかもしれない。なら、先に複数の稲弾を複数個作り置きし、好きなタイミングで飛ばす。最初の一ヶ月は真っ直ぐにしか飛ばせなかったモノを、カーブさせたりと自由自在に飛ばせる様になった。それから4ヶ月間は同時に操作する練習をする。今の段階では3つが限界である。
背中には3つの稲玉がクルクルと飛び回りながら纏っている。何故、ここまで強くなろうとしているのかって?確かに、別に倒したい敵も騎士になりたいと言う気持ちはない。だが、魔法と言うモノがあれば研究したくなるモノだ。
成長しているのは稲弾だけではない。
無属性魔法の
でも、この影は前世と比べると精度が下がっているのを気付いた。呪力とは感情によって、威力が上がるモノ。平和に暮らしているせいか、前世の様な力は発揮できない。まぁ、これでも充分な力はあるが。
そして、今俺は新しい技を作り上げている。
前に大掃除の時に、ガイが家具を持ち上げようと土属性の魔法を使った。両腕と両足に岩を纏わせて重い家具を素早く移動させていた。
...てか、ウチのパパは何属性まで使えるんだ?
俺はそれを見て、雷で同じ様にしてみたい。
攻撃力を上げつつ、敏捷性を上げたい。
「これを
まずは体全体に
ビリリッ!ビリリリッッ!
まるでそれは鉤爪ガントレットと鋭い爪のある足鎧。俺は試しに動いてみると、スピードと機動力がとんでもなかった。
「はぁはぁ、ちょっと動いただけで、体力と魔力を持ってかれるな」
そして俺は移動しながら、稲弾を複数飛ばした。
最大稲弾を同時に作れるのは3つ。1つ同時に飛ばせば1つ、2つ同時に飛ばせば2つ、全部同時に飛ばせば3つとすぐにチャージする。
「これを剣と組み合わせれば」
俺は落ちていた木の枝を手に取る。
すると木の枝にも雷を纏い始める。
俺はその状態で木を切ってみせる。まさか、木の枝で木を斬る事を成功させた。
「やべぇよ!マジで魔法っておもしれぇ!ずっとやれる!」
日本じゃ呪力の研究なんてできなかった。
だが、この世界でなら好きな様に出来る。
ビリッ
「?!」
背後から水の塊
「魔力波を感じると思ったら、この村に何しに来た?こんなに森を荒らしやがって...って、アリス?!」
なんと、父親であるガイであった。手には
「アリスなのか?なんだ、その姿は?」
「...いやー、その」
ブーストした状態では、言い訳が通用しない。
どうやら、俺が隠れて魔法を研究していた事は今日で終わってしまった。ガイは特に何も聞かずに一緒に帰るのだった。
「えぇ、アリスが魔法を使ってた?嘘でしょ?」
食卓を囲みながら、初めての家族会議が開始する。ラーラはありえない表情で俺が魔法を使っていた事に疑いを覚える。
「そうなの?アリス」
「...うん」
下手な嘘をかけても信用を失うだけ。
俺はこの魔法特訓の事を説明したのだ。やはり、1人の子供が裏でコソコソと魔法を使っている事は危険、俺は物凄く怒られるに違いないと覚悟を決めた。
「...」
あれ?怒っているどころかニヤニヤしていた。
「天才だと思っていたけど、ここまでとはね...4歳で魔法を使うなんて、とんでもない魔法の才だわ」
「確かにそうだけど、1人で村から離れた場所で魔法を使うなんて褒められた事ではないよ。少しは相談して欲しかったよ」
「何よー、私だって3歳の時から1人で勝手に魔物を狩っていたのよ!それと比べればアリスはまだ可愛い方じゃない」
「君と一緒にされてもな...まぁ、血は争えないって事か」
ガイは少し呆れた表情を浮かべる。
そして深いため息を吐いて、気持ちを切り替える。
「どれ、アリス。魔法を見せてくれるかい?魔法を極めたい気持ちがあるなら、この僕が見てやろう!これでも魔検1級だぞ」
魔検って確か、実用魔法技能検定の略だったよた?魔法協会で試験を行い、その結果を成績として階級を得て資格を得る。下から6級、5級、4級、3級、2級、1級、特級の7段階。
一国で10人も居ないと言われている、物凄い魔法使いなのだ。それが何故こんな田舎村にいるのかと疑問を抱いていた。
「何が1級よ。冒険者ランクも全て中途半端よね」
「君と一緒にしないで欲しいな。普通ならすごい事なんだけどな」
「?」
冒険者ランクはよく分からないが、1級持ちはめちゃくちゃ凄いんじゃないのか?ラーラってもしかしてめちゃくちゃ凄い人?
「それじゃ、アリス。僕と模擬試合をしようか」
第四話 『雷を纏う者』
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