AOI 第27話

 教室のドアは出入りでごったがえしていた。初日だからか、授業中の空気までもシーンと音を立てているような感じからうそのように休み時間は賑やかザワザワしている。そんな中、2人で私を先頭にかきわけながら道を見つけて教室を出た。明日もこんな感じなのかなとフーッとため息をついた。塾を後にして、2人で駅まで歩くことになった。私は、駅からバスで、女の子は、駅にお迎えに来てもらう事に変更のLINEをしていた。お互いに、はじめましてーと言い合い。お互いに、のあちゃん、さっちゃんと呼び合う事になった。LINEも交換した。のあちゃんは私と同じ母からのおすすめで塾にきた事、教室を見回したけど、同中がいなかった事、はじめての塾な事を、あっという間に仲を詰めた。2人、きっと話したくて話たくてウズウズしていたみたいで笑ってしまった。知り合いがいない者同士、仲良くしようと明日も一緒に座ろと話をした。のあちゃんは、とってもいい匂いがするし、なんならまつ毛も上がっていて、女子力の高さが見てとれる、さすが、四中と思った。バスの時間がわりとすぐだったので、あっという間のはじめましてトークはまた明日ねとあっさりと終わっちゃった。バスの中に入りながら、もう少しお話したかったなぁとバスの時間を恨みながら、駅の中に入っていく携帯を見ながらののあちゃんの後ろ姿を見ていた。バスは始発だったけど、あいにくの空模様で乗車する人が多かった。知らないおばさんの隣を会釈しながら座った。外はやっぱり、雪が降ってきていた。バスの窓ガラスの結露が外と中との温度を教えてくれる。行きのバスとは違い、のあちゃんと言うかわいい塾友ができたこと、明日の塾は、本当に楽しみだ。ウキウキ気分でバスに乗っているからか、到着時間が早く感じた。ただ、降りると

思っていたより風強く、降っている雪も舞っている。寒いし、まだ、5時代なのに、真っ暗だ。ザッザッと一歩一歩、滑らないようにかかとから少し強く足を下ろして歩くのが、雪道を歩くコツ。人が歩いた道を歩くのも大事。それでも、何度か下ろした足が持っていかれる。後に転倒するのは頭を打つ可能性が高くなるから、転ぶなら前にの意識を持つ事も大事。様々な雪道ミッションをこなして、やっと家に帰ってきた。この道中で汗だくだ。玄関は、灯りがついている。家の中はストーブがついてあたたかいはず。呼び鈴を鳴らすと

弟が、

 「はーい。おっお帰り。」

 と、言ってくれた。私も、それにむかって

 「ただいまー。」

 と、言った。家の中から足音が聞こえて、鍵がガチャガチャと開いて、ドアが開いて、

弟が、

 「お帰りー。」

 と、また言ってくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る