AOI 第25話
次の数学の授業を受けない子は、帰ったり、また、教室に入って新たに席を探す子がいたりしている。私の席のまわりは、移動もなくそのままだった。それに、同中ぽい子は見当たらなかった。1人かぁと思っていたら、席を囲む女の子達が…まさか…
「あーやっぱり、体験しにきてたよね。」
「本当だぁ。」
…よく覚えてるなぁー、こっちはうやむやですけどー。
「…えーっと、声をかけてくれた…。」
話す事がやっとだった。隣の女の子は、
顔を上げて、囲んできた女の子達をぐるっと一周見回して、そして携帯に視線を下ろした。女の子達も隣の子をチラチラ見ながら、続けてこう言った。
「次の週、来なかったねーって話していたんだよ。」
「あっうん。」
次、続かない。他、なんて話せばいいのか。こういう時は、簡素化して話するといいのか、おもしろく短く返す言葉を頭の隅まで探してみたけれど、見つからなくて。女の子達は、周りの男の子達も見ていた感じだった。女の子達の1人が、
「仲良し4人組だぁ。」
と、言いながら男の子達を見ている。
「うるせー。あっち行け。」
と後の席の男の子が言って、女の子達が、みんなで笑っていた。知り合いなのかな。みんな、私服だから同じ中学校か、わからない。教室に笑いが起きると、初日だからか、振り返って見る人が多い。…恥ずかしい。思わず、前の席の男子の様に、隣は何を知る人ぞ、という体でいいと思っていた。立っている女の子は、
「同中なの?」
と、聞いてきた。えっ、そんな親しそうに見えてたのかな。隣を気にしつつ、話していない人の事をなんと言えば。
「別々だよ。」
と、隣をチラッと見ながら話をした。もう1人の女の子が、隣の子に、
「どこ中なの?」
と、聞いた。すぐに顔をあげて、
「四中だよ。」
と、話した。女の子達が、顔を見合わせて、何か話している。目の前にいるのに、
教室のざわざわに、ヒソヒソ話が聞きづらくなっている。市内は、第1〜第7中学校があって、新しくできた中学校は地名がついている。私の通っている、美濃中もそうだ。本当かどうかわからないけど、第一中はいい先生が集まっていて文武両道、第3中は元気な子が多い、第4中はカッコいい男子と可愛い女子が多いとか、いろいろと言われている。でも、あながち間違いではないと思う。隣の席の女の子は、本当にかわいい。学校の友達に、自慢したいくらいだもの。私も、憧れちゃう。今すぐには無理だけど、高校生になったら、私もその気分になれるのかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます