第23

 自動ドアが開くと、あったかい風が、すごい勢いで、私に向かってきた。あったけー。すぐに、コートをぬいで左腕にかけた。なかでは、2階に行ったり、降りたり、事務室へ行く子、職員室で先生とお話してる子、空気がワサワサ、人の動きで目がクルクル、でも、立ち止まっている暇わない。どんどんズカズカ、入っていくと、目の前に大きな液晶がドーンと置いてあった。学年と科目と出席番号と教室が映し出されていた。数秒で画面が本をめくるように次の学年へと移りかわる。新中学3年生は…1階か。大学生まで映し出されると、最後に校舎の間取りが映し出された。私は、1階の1番 手前の教室だった。あらら、あんな小さい子まで、かわいい。液晶に小学3年生とあったな。すごい、偉いねぇ。受付のお姉さんが出てきて、お話をして、一緒に教室へと行くのかな。2人で歩いて行った。2人の背中をちょっぴり見ながら、自分の教室へと足を向けていく。大液晶を正面に見ると、右後に受付事務室職員室でその並びに教室が3つ奥につづいてあるのが見える。大液晶のすぐ左隣に2階へ階段があって、その左にも教室がある様子だけど、廊下がすぐに右へと曲がっていてここからは、見えない。さっきの小学生は左に歩いて行っていたから、小学生棟みたいなのがあるのかな。塾の広さに驚きながら、私は、右側の自分の教室へと向かった。教室は、手前と奥に出入口があって、手前は人が立っていたので、奥から入る事にした。途中、左手にはトイレがあった。わぁ、初教室、ドキドキ。奥のドアも開いていて、入りながら、まず、教室全体をぱっと見回して、空いている席や1人でも大丈夫そうなところを探した。なんとなく、端っこがいいなぁと思って、廊下側の後から3番目の机がぽっかり空いていたので、よしと思い即座に座った。机は、会議室のような机で、ひとテーブルに3つ、保護者席のようなパイプ椅子がある。ギリギリの時間に着くバスに乗ってきたから、あっという間に始業のチャイムが鳴って、あっという間に席が埋まっていった。数えてみると、1列が5テーブル横に3テーブルで、縦に長い教室みたいで、ちらほら空いているけど、40人はいそう。私の席の隣も、私、女の子、男の子となっていた。

 「隣いいですか?」

 と、かわいらしい声の女の子が声をかけてきてくれて、

 「大丈夫です。」

 と、顔を見ずに左斜め下に頭を下げながら言った。なにしてるの、私。そこは、顔を見ながら、どうぞって、にこって笑顔だったのでは…。そこから、どこ中?の話の流れなのでは。女の子は、無言のまま座った。絶対、ハズレ席と思ったに違いない。その隣には、後の席の友達どおしらしく、じゃんけんで負けたのか席になり、そして、私のテーブルの3人の席ができた。誰も隣に座らないのは淋しいし、すぐ隣が男の子でなくて、よかったぁと、女の子、よく私を見つけて、隣に座ってくれたなと感謝、感謝。顔を少し上げて、目だけキョロキョロと教室を見渡すと、みんな静かに座っている。私の中学校だったら、こうはいかない、先生の、

 「座ってー。」

 から、授業が始まる。あの号令は、私の学校だからか…。みんなのやる気を感じた、塾のはじまりだった。

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