第19話

 お茶のおかわりが欲しくて、台所にたった。オーブントースターを覗くと、絵でよく見るようなお餅がふくらんでいた。

 「お餅焼けたよー。お茶のおかわりほしい人ー。」

 と、後を振り返り言った。

 「お茶ほしいー。」

 と、母と弟が。食器棚から、お椀を取り出し、お餅を入れるとくっついてしまうので、先におしるこをよそう。母と弟の分を運んでから、戻ってお茶の急須にお湯を入れて自分のおしること一緒に、こたつに運んだ。

 「うめーっ。」

 と、弟が上をむいてのけぞった。それを聞いて、ご飯がまだ食べ終わっていないけど、ひと口と思ってすすった。

 「おいしーぃ。」

 いつもの、少し甘めのうちのおしるこ、だ。大好き。鍋にはまだまだ、あったので、もう半分お代わりしよう。

 しばらくして、重い腰をやっとのことさで

あげたのはいうまでもない。2回目の塾は、あんなにコンクリートのひんやりしていたのが嘘のように、あたたかく、壁は日の光を浴びて窓から天使の道が差し込んでいるようだった。申し込みは、事務室で入塾の書類提出のみで、5分もかからなかった。受付にいたお姉さんが、にこにことしていて、でも淡々と確認していっていたのが印象的で、教材を渡された時もひとつひとつ一緒に確認して、途中、教材を入れる袋が床に落ちてしまい、そしたら、あららと声をだして急ぐ様子もなく、椅子からおりて、しゃがんで、取ってくれて、うふふと椅子にもどってきて、一連の動作が、塾なのに、気持ちが落ち着いてゆくように感じた。その時、母も一緒になって、うふふと言っていた。

 「では、お待ちしていますね。」

 と、お姉さんが言ってくれて、

 「よろしくお願いします。」

 「よろしくお願いいたします。」

 と、母と私でおじきをした。塾を出て、車のドアを開けると、弟が、

 「はやっ。」

 と、起き出した。私が、

 「お待たせー。」

 と、言って、ふーっと少し大きく息を吹き出すと、車を運転し始めた母が、

 「緊張した?」

 と、聞いてきたので、

 「ドキドキしたよー。何か聞かれると思ってさ。」

 「ね。いつから始まるのか確認しときなね。」

 「はーい。」

 教科書が入っていた袋には、クリアケースも入っていて、また、提出書類が入っていた。母に、

 「お母さん、また、書類が入っていたよ。」

 「えっまだ、何かあるのかな?タイトル読んでみて。」

 と、母が言ったので、よく見てみると、

 「私の性格とか書くみたい。」

 「…へぇー。教える時とかに参考にするのかな。」

 と、不思議そうに話をした。弟が、

 「やばいね。」

 と、言ってきたので、私も、

 「やばいね。」

 と、言った。

 

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