第15話
5時間目の予鈴がなった。先生が校庭に出てきて、
「ほーら、早く帰れー。」
と、3年生に声をかけた。
「はーい。」
みんな、いい返事。聞いていた私達も、笑ってしまった。先生は振り向いて、たくさんの生徒が窓から眺めているのを見て、少し驚いていた。だけど、すぐ前を向いて、
「卒業式前に制服汚すなよ。」
、と声をかけた。3年生は、お互いの制服を見て指差しながら笑っていた。そんなやりとりを眺めていたら、5時間目の授業開始のチャイムがなって、1人、1人と席に座りはじめた。最後まで、残っていた子が、
「先輩またー。」
と、声をかけて席に移動していった。窓を閉めた教室は、3年生の声が聞こえなくなった。
放課後、部活に行くと、さっきの3年生を見たからか、部活の先輩達を思い出しちゃった。いなくなったのに慣れてきてはいるけれど、やっぱり、声を出す人数が減るからか、なんかやる気が散漫になってしまっている。1年生の手前、これではいけないのだが。顧問は、会議で遅れるとのことなので、しっかりしなければ。そんな中、いつもより、1.5倍は声を出しているつもりでいる。空回りしてそうだけど。先輩達もそうだったのかなぁ。今度、あったらいろいろと聞いてみようかな。先輩達が部活に顔を出してくれると約束してくるれているので、その日を心待ちにしよう。それまで、まぁ、まぁ、うちららしく
、まずは、みんなで一勝したいなぁ。
家に帰ってきた。
「ただいまー。」
と、居間のドア前を通過しながら声をかけて、洗面所に直行。手洗いうがい、と。お風呂のドアを開けると湯気がいっぱいだった。
居間のドアを開けて、また、
「ただいまー。」
こたつに入っていた弟と、台所に立っている母が、
「おかえりー。」
と、顔を見て言ってくれた。お夕飯前に速攻でお風呂に入りパジャマに着替えて、後は寝るだけの幸せな私がこたつにいる。もう動けなーいとこたつに寝転んだ。こたつの上にお夕飯が並ぶ、弟が立って、運びを手伝っている。偉いなぁ。ごめん。片付けします。と、起き上がり、箸をとった。母が座って、みんなで、
「いただきまーす。」
今日の学校での、雪だるまの話をしたら、母も弟も笑った。母は、先生と同じく、
「制服大丈夫かな。」
と、言った。
「あっ、先生とおんなじ事言ってる。」
と、言うと、母は、また、笑った。
「塾って、電話した?」
と、聞くと、母が、
「うん。とりあえず春期講習通いたいって
伝えたよ。」
「ありがとう。」
「週末、手続きに来てくださいって。」
「わかった。」
「時間はいつでもいいみたいだから。」
「そうなの?わかった。」
母は、とりあえず春期講習だけを話してくれたんだ。
「やっぱり、少し遠いもんね。通ってみてからだね。」
「うん。」
母に聞いてみて、よかった。今日は、ゆっくり眠れそうだ。
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