第13話
学校へはこの1本坂道を登る。のぼりきると、ひらけて、目の前の横断歩道を渡ると、学校へと続く最後の坂道がそびえたっている。学校は登った先にあるけど、まだ見えない。本当に山の頂上。斜めがけのバックとその上にリュックの底がのるように、リュックを背負うのが学校へのスタイル。みんな同じ指定のリュックとバック。バックには教科書筆箱。リュックには体操着や部活の道具。バックは同じ肩で続けてかけない事と言われている。片方の肩にだけ負担がかかるからと。横断歩道を渡った先に、先生と数人の生徒が並んで立っていた。
「おはよう。」
と、…あっあいさつ週間か。ちえちゃんと2人で、
「おはようございます。」
と、頭を少しさげた。今日からだったのか、1週間続くんだよな。クラス役員と生徒会かな。朝、雪大変だっただろうな。最後の坂道を登りながら、ちえちゃんに、
「私、塾ね、中央学院に通ってみようかなと。」
ちえちゃんはすぐに私の方を見て、
「えっ一緒のところじゃなかったの?」
と、聞いてきた。そう、だよね。私、一緒のところに行きたいなぁと話していたもんね。ごめん。本当ごめん。と、心の中でつぶやきながら、
「お母さんの強いすすめでね。」
と、ちえちゃんに言うと、すぐに、
「お母さんかぁ。…強いよね。」
と、ちえちゃんはお母さんフレーズに弱かった。よかった。
「なぜ中央学院にしたの?」
と、ちえちゃんが聞いてきたので、
「お母さんがあっちこっちで塾の情報をもらってきていて、そこがいいって。1度体験してと言うから、週末体験に行くって話してたでしょ。そこだったのよね。私が体験している間、お母さんが塾長さんと話していて、絶対ここって、ますます思ってしまったらしい。遠いから通うの大変だと思うよ。とりあえず、春季講習だけ行って考えるよ。」
「春季講習体験か。誰か、中央学院通っている子いたかなぁ。」
と、ちえちゃん。とりあえず、朝、話できてよかった。坂を登りきると、門があって、左に奥まで続く駐車場、真ん中、1階に職員室がある建物があって、右には中学3年生の玄関があってそのまま奥に教室の建物が立っている。用務員さんが、雪片付けをしていたので、私たちは、
「おはようございまーす。」
と、言いながら少し頭をさげてそばを通るった。
「おはよう。」
と、振り向きながら片付けながら言ってくれる。駐車場の方には、何人かの先生達も雪を片付けている。今朝は、よく積もったからなぁと3年生の玄関前を通って、左に曲がる、右に真っ白な校庭を見ながら、白い息をはいて、建物沿いに歩くと、真ん中辺りに昇降口があって、1、2年生の下駄箱がある。
後から、
「おっはよーっ。」
と、声をかけてくれた。同じクラスの子。ちえちゃんは、下の方に靴を入れるところがあるので、中腰になりながら上履きを履
いて、上目遣いに友達を見ていた。私が、
「あっおはよー。」
友達はちえちゃんを見下ろしながら、側を通って、教室に向かった。ちえちゃんは、
「誰だっけー。」
と、言いながら体をおこして、背中を見つめている。
「たしか塾一緒なんだよなぁ。まったく話した事ないんだけどね。」
と、ちえちゃん。同じ塾でも話さない子っているんだ。2年生は2階なので、階段登って、私は3組、ちえちゃんは1組。2人で、
「バイバーイ。」
と言って、各々教室へ入って行く。1日の始まりだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます