第12話
朝の待ち合わせは、ヨークで、ちえちゃんと。
「おはよー。」
「おはよー。おまたせ。遅くなってごめんね。」
2人で学校の方へ、歩き出した。
「少し早く家出てきちゃたからさ。」
と、ちえちゃんが、意味深げの声で話すから、
「…どうしたの?」
と、心配になって聞いてみた。顔をあげたちえちゃんが、
「塾のテストの結果が良くなくて、週末チクチク言われてさ。」
「そうだったんだぁ。うーん、チクチク言われたら、私も嫌だな。」
と、言ったら、ちえちゃんが、私の顔の方をむいて、
「そうだよね。嫌だよね。」
と、口びるを尖らせている。私は、そっかぁ
塾に行くとテストがまめにあるんだと、塾に行くなんて早急すぎたかなと、少し後悔した。もう、母には行くと話たばかりだし、
今からでも、やっぱり考えなおしてみると
塾に電話しないでと言いに帰りたいと思ってしまっている。横目でちえちゃんを見ると、元気がなさそうなので、私の塾の話はもう少ししてから話そかなと思った。その前に、
「そういえば弟がさ、昨日ノート買ったんだけどcampusのでさ、これが流行っているとめっちゃかわいい柄のを買っててさ。ちえちゃん、知ってる?」
と、話を変えてみた。ちえちゃんを見ると、目がパッと大きくなって、また、私の方に顔だけ寄せて、
「知ってる。それ、新しい柄だよ。」
「そうなの?あいつ良く知ってるなぁ。」
「小学生で流行ってるんだ。」
「そうみたい。即決で決めてた。」
さすが、文具のちえちゃん、新しい文具はひととおり見ているんだよね、試したりもしていて教えてくれるんだよね。
「へぇ。今時の小学生も大変だね。」
と、ちえちゃんが話していた。中学生になると、1部にそういうグループもあるにはある。ちえちゃんは新文具情報に長けていて、私に、あれこれと説明してくれる。他社との比較とか、これは金額の割には書き心地がいいよと教えてくれたり、発色がいいよとか、コラボとか、感謝デーのお得情報まで教えてくれたりもする。話を聞いていて、とても楽しいし、実際おすすめを買ったりして、そこからリピーターになったものもある。でも悲しいことに、サイクルがとても早いらしく、せっかく出会えたのにバージョンアップが次の月に出てしまったり、嬉しいんだけど、ちょっと名残惜しくなるし、専用の芯なんて出てしまえ絶望も覚えてしまう。文房具は奥がとても深いなぁと、そしたら私はなにおかくそう、小学生からずっと使っている下敷きがある。これがなぜか、折れないし、まだまだしっかりとお仕事をこなしてくれている。まさか、下敷きも中学生の教室に自分がいるとは思っていなかったと思う。もう少し、一緒にいれそうだなと、ちえちゃんの文房具の話に相槌をうちながら、ニマニマしてしまった。
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