第7話

 モールは、いつもより混んでいた。中は、暖かかすぎて上着とカーデガンも脱がないと居られないほど。持ちながら移動するのが、荷物になってしまう。毎年、思うけど暖房効きすぎていないか。汗かいて帰る時、外は寒くて、体が冷えて、風邪ひいちゃうじゃん。近くの子どもが薄着になって、頬を赤くして、よく動いている。楽しそう。隣のお母さんをチラッと見た。自分の上着と子供の上着と、カートの上に置いてあるけど、時々滑り落ちていって、拾いなおしている、荷物大変だなと思った。本屋さんの隣に文房具売り場があって、弟が表紙を吟味しながらノート5冊入りを買った。次は〜と話していたら、正面奥に立体駐車場が見えて、雪が吹きこんでいた。モールに着いた時より、より一層、雪も風も強くなっている。母と弟と顔を見合わせて、帰り、団地の坂が登れなくなると怖いので少し早く帰ろうかと話あった。下に降りようとすると、いい匂いが…フードコートが…。

家を出てきたのが、午後1時頃だったから、小腹がすいてきた…母や弟は先に食べていたから、すでにお腹が空いているのでは…。匂いの方をチラッと見た。たこ焼き、ソースの匂い。弟がひとこと、

 「お腹すいた。」

弟、よく言ってくれた!

 「…私も。」

立ち止まった弟と私とで、母の顔を見た。

 「…軽く何か食べていこうか?」

 「うん。」

弟と私は同時に、いい返事をした。いい返事に、母は笑った。フードコートに入ると、お昼はとうにすぎているのに、混んでいる。日曜日ってこんな感じなのかな。ちょっとしたアトラクションのように見えた。席を見つけるのが大変そうだ。あれれっ、友達も家族と来ているあっちにも、

 「うふふふー。」

と、首をぺこりと通り過ぎる。

 「わぁ、さっちん。」

友達家族が見上げて、

 「あらあら、こんにちは。」

先行く母と弟が、その声に振り返り、少し近くまで戻って、

 「あらあら、いつも娘が…。混んでますねー。」

軽く会釈をして、また、席を探しにまわった。友達とお互いに、手を振り合った。振り返って、母と弟の背中を見ながら、ニマニマしてしまう。嬉しい恥ずかしいは、こういう事か。弟が

 「同じクラスの人?」

と、聞いてきたので、

 「違う。部活一緒の子。」

と、言った。弟が、

 「ふーん。」

と、言った。なかなか空いている席が見つからず、そのままフードコートの奥まで来てしまった。奥は、全面窓になっている。外の吹雪に、かろうじて、前にある駐車場が半分見えるくらい。結構、降ってきているな。奥の左はキッズスペースがあって、小さいテーブルやイスが並んでいる。お父さんもお母さんも子供と一緒に腰を下ろして、小さくなってご飯をたべている。見ていると、子供が笑っているので、楽しそうだなと思った、ちょうど、その境が目の前で席を立つ人がいたので、つかさず、

 「ここ、いいですか?」

と、声をかけて確保できた。

 



 


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