あとがき


穢月と書いて、本当に「みなつき」と読むらしいです。

造語として使おうと思ってたのに、調べてみてびっくりしました。

お気付きの方もいらっしゃるでしょうか。

作中に出てくる月はだんだん浄化されていきます。

ただ、細い月はナイフの暗喩にもなっています。

月は変化するものなので。


児童虐待から始まった愛美あいみの物語は、ハッピーエンドを迎えることができました。

ひとみみたいな人に偶然会えるなんて、弁護士と知り合いになれるなんて、運が良かっただけだよね、ご都合主義だよね、と思う方もいらっしゃるかもしれません。

そう、愛美と麻里衣まりいは運が良かった。

でもその運は、愛美があのタイミングで逃げ出すと決めなければ、掴むことはできなかったものです。

愛美が自らの手で掴んだ幸運で、拾われたあとも、彼女は瞳に気に入られようとがんばっていたはずです。

キッチンに立って、瞳が次に何を欲するのかを予測して、できるだけ役に立とうとしていた。

麻里衣の面倒も見ながら、次に何をするべきなのかを考えていた。

そこが気に入られた一番の理由で、幸運だけではなかったんです。


これは、「子を思わない親はいない」と世迷い言を吐く人を偶然ネットで見つけて、「んなわけあるか」と、怒りに任せて書いたお話です。

血が繋がった子を思わない親もいる。

血が繋がっていない子を思う大人もいる。

世の中ってそういうものだと、私は思います。



私、缶詰のフルーツはあまり好きじゃないんですが、黄桃だけは大好きなんですよね。

で、半分に割られた黄桃を食べるたびに、満月みたいだなと思ってたんです。

今回、十四歳と十五歳の女の子を描くにあたって、生理については避けられないと思っていました。

それで、生理→月→黄桃というモチーフを使ったんです。

生理について触れている作品ってあまりないですしね。

ここらへんで一作くらい増えてもいいべ、という安易な考えで。

そして、黄桃といえばプリン・ア・ラ・モードだろう!という、これまた安易な考えでw



重い始まりでしたが、愛美と麻里衣は幸せになれそうです。

読んでくださった方々に、心からお礼を。

ありがとうございました。

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穢月祓 ―ミナツキハラエ― 祐里(猫部) @yukie_miumiu

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