第24話
「……まぶしっ」
すでに陽は登っていた。スマホを見ると11時を過ぎている。身体の節々が痛い、特に股関節は筋肉痛になっていた。布団が床に落ちている。バスローブもどこかにいってしまったのか、見当たらない。行為のあと、眠ったのか、気絶したのか、曖昧だった。ありがたいことに夢は見ない。隣には裸のままメロが寝ている。化粧を落としている寝顔は、思いの外、若く見えた。
「そういえば、お互いのことなんにもしらないな。年齢も出身も」
そっと頭を撫でる。くすぐったそうに、肩をすくめる。
「それもいいかもしれない」
俺はシャワーを浴びるためベッドを抜け出す。背伸びをする。昨日のことは、頭から抜け落ちたように爽やかだった。
「おはよう」
「おはよう、ごめんうるさかった?」
「ううん、別に、もう起きなきゃだし」
髪を乾かしている背後を通って、そのまま浴槽へと向かう。肉付きのいい尻、垂れるように白い痕が太ももにこびりついていた。そういえば、ゴムつけてなかったかも。鏡の向こうの俺は、少し青ざめている。
乾かし終えてスマホを触る。例のアプリの通知が来ている。クリスタルの獲得の表示が3件あった。コンビニで殺したゾンビと、車で轢いた二人、合計3つ獲得できている。1回ガチャを回すのに、必要なのは5回の殺し、10連回すためには50回殺さなければならない。
「途方もないな」
干していたTシャツに袖を通しながら独りごちた。
「それでも回し続けるしかない。ゾンビに感染しても、人間に戻れるチート級のアイテムもあるし、どうにかして大量に殺す方法はないかな。このレベルの表記も気になる」
着替え終え、まだシャワーを浴びていたメロに一言伝えて、美咲の泊まっている部屋へ向かう。廊下はしんとしている。どうやらゾンビも人もホテルにはいないらしい。
「美咲、起きてるか」
「お兄ちゃん、起きるの遅すぎるよ」
ドアの隙間からひょこっと顔を出し、唇を尖らせている。
「ごめん、俺もこんなに寝るとは思ってなかった。とりあえず、美咲の部屋に集まるか。一旦、メロに伝えて、荷物もまとめてくるよ」
「はーい」
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