第17話 敵
☆
日付は7月19日となった。
この日までずれ込んでしまったが。
ようやく斉藤と話す時がきた。
俺と幸奈と幸は...指定場所の喫茶店で待っている。
「...斉藤は...その。...私は...」
「幸奈。余計な事は考えないで目の前を見る」
「...分かってる。幸。だけど何だか...緊張して」
そんな事を話していると喫茶店のドアが開いた。
それから中に入って来たのは。
五条と斉藤だった。
え?、と思いながら居ると冷ややかな顔で「何でアンタが居るの。五条」と幸が言い放った。
俺もそれは思う。
「私の知り合いだからだよ。幸」
「...アンタに幸呼ばわりはされたくない」
「まあまあ。取り敢えず座らないか」
「...」
俺の横に幸奈と幸ちゃん。
そして対面に斉藤と五条が座る。
死を感じさせる香りがする。
それから斉藤は苦笑しながら「初めまして」と俺に言ってくる。
「斉藤信彦です」
「...知っている。...お前が...幸奈の浮気相手。元だってな」
「...ですね」
「お前が全て奪っていったんだな」
斉藤は「そうですね...」と思い悩む様な声を発する。
何を他人事みたいに言ってやがるこのアホ。
そう思いながら俺は眉を顰める。
それから斉藤を見る。
斉藤は「...」となりながら「僕なりに考えました」と言う。
「何を」
「...僕がどうやったら幸奈さんと復縁できるか」
「させない」
幸ちゃんがそう言う。
切り捨てる様に斉藤に告げた。
「アンタは境界線を知らないから言えるかもだけど。他人に関わる事で壊れるものもある。だからアンタは二度と幸奈に触れないで」とも怒り交じりで切り出す。
俺はその言葉を目線を動かして見ながら前を見る。
「まだあまり言ってないんだけど...」
「いや。もう結論は出た。...アンタは敵だ」
「幸。まだ何も言ってないよ。斉藤さん」
「お前は黙れ」
話が決裂してきた。
俺はそう思いながらため息交じりで3人を見る。
すると幸奈が口を開いた。
「信彦」という感じで、だ。
そして前を見据える。
「私は貴方とは付き合えない」
そう断言した。
そして「信彦。貴方とは決別する」と話した。
俺達は「!」となりながら幸奈を見る。
すると斉藤は「そうだね。そう言うと思った」と肩を竦める。
だがその言葉に五条が「調子に乗らないで」と火に油を注いだ。
「全てを選択は出来ない。そもそも浮気したのは貴方も同罪だしねぇ」
「黙れ。五条」
「嫌。黙らない」
「調子に乗っているのはアンタもでしょう。五条」
「はい?私は平和が好きですから」
「...は?」
「平和的に解決を導こうとしているだけだよ?」と五条は言う。
俺は「お前は破滅に向かっている」と告げた。
それから俺は五条を見る。
「お前達はもう俺達に近付かないでくれ」と言いながら、だ。
「それも断ります。だって平和的な解決になって無いですから」
「本当の平和が何か分って無いな五条。お前は破滅を導く。全てにおいて。...今は接触は避けたい」
「はい?嫌ですよ。だって私、裕太郎先輩が好きですから」
何の解決にもならない。
そう思った。
俺はスマホでその人に連絡を取る。
そして連絡されてから直ぐに入って来たその人物。
というか階段を降りて来る。
「やあ。皆の衆。元気かね」
「...え?遠島先輩?」
「このカフェの経営者は父親だ。...だからこそずっと聞いていたけど」
「...そうなんですね」
「斉藤くん。それから五条さん」
サングラスを掛けていた透子先輩は「斉藤くん。女子に無理に接触するのは良くない。君はもう諦めたまえ。それから五条さん。貴方も無理に接触して来ているからね」と言いながら「あまり無理に私の部員を蔑ろにするのは止めたまえ」と笑顔になる。
五条は「...」となりながら嫌気が差す様な顔で透子先輩を見る。
透子先輩は「大人になりたまえ。君も」と言う。
「...それこそ五条。アンタは斉藤と付き合ったら良いんじゃない」
「貴方は黙ってて下さい。幸」
「黙らない。...アンタの事嫌いだから」
「...まあ私も嫌いですけどそんな直に言う事ですかね」
「アンタに言われたくない」
すると透子先輩が「まあまあ」と言いながら割って入って来た。
それから「話は纏まっただろう。さあ解散だ解散」と言う。
五条は苛立つ様な感じで居たがニコッとして「私は決して先輩を諦めませんし接触を止めませんよ~」と吐き捨てて言ってから会計をして去って行く。
斉藤は「...まあ...確かに幸奈が嫌だったならもう接触は止める。...何だかその方が良さげっぽいしね」と苦笑いを浮かべた。
そして斉藤もお金を払って去って行った。
「君達も大変だね」
「私は大変じゃないですが。...幸奈が招いた悲劇です」
「...そうだね」
幸奈は沈黙しながらそのまま俯く。
俺はその顔を見ながら考え込む。
そうしていると透子先輩が「それで良いんじゃないか。今は」と話した。
俺達はその顔を見る。
「まあ...今はまだ仲違いかもだけど。徐々に納得のいく展開をすれば良いじゃない」
「...」
「...まあ確かにですね」
先輩は「まあ今日は私が奢るよ。君達3人の分を」笑みを浮かべる。
俺達はその言葉に顔を見合わせる。
それから頷き合った。
そして透子先輩を見る。
透子先輩は俺達の前に腰掛けた。
次の更新予定
毎日 18:00 予定は変更される可能性があります
寝取られた彼女に確実に復讐する。絶対に許さない アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。寝取られた彼女に確実に復讐する。絶対に許さないの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます