第17話 敵


日付は7月19日となった。

この日までずれ込んでしまったが。

ようやく斉藤と話す時がきた。

俺と幸奈と幸は...指定場所の喫茶店で待っている。


「...斉藤は...その。...私は...」

「幸奈。余計な事は考えないで目の前を見る」

「...分かってる。幸。だけど何だか...緊張して」


そんな事を話していると喫茶店のドアが開いた。

それから中に入って来たのは。

五条と斉藤だった。

え?、と思いながら居ると冷ややかな顔で「何でアンタが居るの。五条」と幸が言い放った。

俺もそれは思う。


「私の知り合いだからだよ。幸」

「...アンタに幸呼ばわりはされたくない」

「まあまあ。取り敢えず座らないか」

「...」


俺の横に幸奈と幸ちゃん。

そして対面に斉藤と五条が座る。

死を感じさせる香りがする。

それから斉藤は苦笑しながら「初めまして」と俺に言ってくる。


「斉藤信彦です」

「...知っている。...お前が...幸奈の浮気相手。元だってな」

「...ですね」

「お前が全て奪っていったんだな」


斉藤は「そうですね...」と思い悩む様な声を発する。

何を他人事みたいに言ってやがるこのアホ。

そう思いながら俺は眉を顰める。

それから斉藤を見る。

斉藤は「...」となりながら「僕なりに考えました」と言う。


「何を」

「...僕がどうやったら幸奈さんと復縁できるか」

「させない」


幸ちゃんがそう言う。

切り捨てる様に斉藤に告げた。

「アンタは境界線を知らないから言えるかもだけど。他人に関わる事で壊れるものもある。だからアンタは二度と幸奈に触れないで」とも怒り交じりで切り出す。

俺はその言葉を目線を動かして見ながら前を見る。


「まだあまり言ってないんだけど...」

「いや。もう結論は出た。...アンタは敵だ」

「幸。まだ何も言ってないよ。斉藤さん」

「お前は黙れ」


話が決裂してきた。

俺はそう思いながらため息交じりで3人を見る。

すると幸奈が口を開いた。

「信彦」という感じで、だ。

そして前を見据える。


「私は貴方とは付き合えない」


そう断言した。

そして「信彦。貴方とは決別する」と話した。

俺達は「!」となりながら幸奈を見る。

すると斉藤は「そうだね。そう言うと思った」と肩を竦める。

だがその言葉に五条が「調子に乗らないで」と火に油を注いだ。


「全てを選択は出来ない。そもそも浮気したのは貴方も同罪だしねぇ」

「黙れ。五条」

「嫌。黙らない」

「調子に乗っているのはアンタもでしょう。五条」

「はい?私は平和が好きですから」

「...は?」


「平和的に解決を導こうとしているだけだよ?」と五条は言う。

俺は「お前は破滅に向かっている」と告げた。

それから俺は五条を見る。

「お前達はもう俺達に近付かないでくれ」と言いながら、だ。


「それも断ります。だって平和的な解決になって無いですから」

「本当の平和が何か分って無いな五条。お前は破滅を導く。全てにおいて。...今は接触は避けたい」

「はい?嫌ですよ。だって私、裕太郎先輩が好きですから」


何の解決にもならない。

そう思った。

俺はスマホでその人に連絡を取る。

そして連絡されてから直ぐに入って来たその人物。

というか階段を降りて来る。


「やあ。皆の衆。元気かね」

「...え?遠島先輩?」

「このカフェの経営者は父親だ。...だからこそずっと聞いていたけど」

「...そうなんですね」

「斉藤くん。それから五条さん」


サングラスを掛けていた透子先輩は「斉藤くん。女子に無理に接触するのは良くない。君はもう諦めたまえ。それから五条さん。貴方も無理に接触して来ているからね」と言いながら「あまり無理に私の部員を蔑ろにするのは止めたまえ」と笑顔になる。

五条は「...」となりながら嫌気が差す様な顔で透子先輩を見る。

透子先輩は「大人になりたまえ。君も」と言う。


「...それこそ五条。アンタは斉藤と付き合ったら良いんじゃない」

「貴方は黙ってて下さい。幸」

「黙らない。...アンタの事嫌いだから」

「...まあ私も嫌いですけどそんな直に言う事ですかね」

「アンタに言われたくない」


すると透子先輩が「まあまあ」と言いながら割って入って来た。

それから「話は纏まっただろう。さあ解散だ解散」と言う。

五条は苛立つ様な感じで居たがニコッとして「私は決して先輩を諦めませんし接触を止めませんよ~」と吐き捨てて言ってから会計をして去って行く。

斉藤は「...まあ...確かに幸奈が嫌だったならもう接触は止める。...何だかその方が良さげっぽいしね」と苦笑いを浮かべた。

そして斉藤もお金を払って去って行った。


「君達も大変だね」

「私は大変じゃないですが。...幸奈が招いた悲劇です」

「...そうだね」


幸奈は沈黙しながらそのまま俯く。

俺はその顔を見ながら考え込む。

そうしていると透子先輩が「それで良いんじゃないか。今は」と話した。

俺達はその顔を見る。


「まあ...今はまだ仲違いかもだけど。徐々に納得のいく展開をすれば良いじゃない」

「...」

「...まあ確かにですね」


先輩は「まあ今日は私が奢るよ。君達3人の分を」笑みを浮かべる。

俺達はその言葉に顔を見合わせる。

それから頷き合った。

そして透子先輩を見る。

透子先輩は俺達の前に腰掛けた。

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寝取られた彼女に確実に復讐する。絶対に許さない アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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