第14話 粉砕
☆
信じられない。
というか...そんな馬鹿な。
私はそう思いながら青ざめながらスマホを観る。
スマホを観ているその手はまるで地震でも起こったかの様に震えている。
何か...どうしたら良いのだろうか。
斉藤が...私の浮気相手が私を嗅ぎまわっている。
そういう感じで幸からメッセージが来た。
幸からメッセージとかありえないと思っていたので開いたのだが。
「...」
私は恩師の家のリビングで...スマホを見つめる。
今、恩師は働きに出ている為。
私しか居ないのだが。
何か身が危ない気がする...が。
「...私がこんなんじゃ駄目だ。...私が...守らなければいけないのに」
そう言いながら私は外を見る。
それから私は...裕太郎にメッセージを送る。
いや。
送らないといけない。
そう思っていると裕太郎からメッセージが来た。
(お前大丈夫か?)
(大丈夫って言うか...落とし前をつけないとね。私が悪いんだから)
(確かにな。かつての俺ならお前には協力しないよ)
(...だよね)
私は苦笑しながら文章を打つ。
すると裕太郎は(警察に言った方が良くないか?)と書いてくる。
私は(それでどうなるの?嗅ぎまわっているけど...警察は動くの?)と聞いてみる。
そんな返答に裕太郎は(確かにな)と書いてくる。
(あくまでお前に復縁を迫っているだけみたいだしな)
(そう。...多分ストーカーとしても無理だと思う)
(どうするんだ)
(私が話す。...彼と話し合いをする)
(...そうか)
すると裕太郎が(俺も同席して良いか)と書く。
私は目を丸くした。
そして(何で?)と書く。
裕太郎は(お前が決着をつける姿をこの目で見たいしな)と書いてきた。
それから(それで得られるものがあると思う)とも。
私は(裕太郎...)と書く。
裕太郎は(あくまでお前の為じゃないから。勘違いはするな。でもいずれにせよ同席者は必要だと思うから)と書いてくる。
(...証拠を集めるのにも?)
(そうだな。お前が全ての悪行を捨てるのも確認しないと)
(アハハ。有難う。裕太郎)
(言ったけどお前の為じゃない)
(ただ俺は証拠を集めるだけだから)と書く裕太郎。
私は(分かってる。...じゃあ同席して)と返事を打った。
それから送信する。
そして私は天井を見上げた。
カチコチと時計の音がする中で。
「...もう決着をつけないと。...過去の自分におさらばしないと」
そう言いながら私はスマホを握りしめる。
そして天井を見上げるのを止めてから目の前に目線を向ける。
裕太郎も。
幸も私を見ている。
今が...正念場だろう。
「...」
私は外をまた見た。
そして曇り空を見る。
鬱陶しい天気だ。
だけど私に似合っている。
☆
正直俺は何の期待もしてない。
アイツに期待できない。
だけど。
アイツは自ら(決着させる)と言った。
それを見届けるのも俺のアレかな、と思った。
どう出るかだが。
「...」
俺はスマホを机に置きながらそのまま考える。
それから俺は写真立てを見る。
写真立ては割れている。
何故かといえばアイツの浮気があったから。
「...」
そんな割れたガラスを集めてからそのまま捨てる。
写真を取り出した。
俺は写真を見つめる。
コイツは随分と当時と比べて随分と変わったな。
俺はそう思いながら写真を置いた。
「...やれやれ」
呟きながら俺はベッドに寝転がる。
それから教科書を読み始める。
集中して...何か気を逸らさないと。
頭が強迫観念状態だ。
「...だけど集中できない、か」
俺はそんな事を言いながらそのまま教科書を置く。
それから俺は目を閉じた。
そして少しだけ仮眠をとる。
夜になっていた。
☆
夜になってからの過ごしての翌日。
俺はいつも通りに家から出る。
そして歩いて高校に登校していると「せーんぱい」と声がしてきた。
それは...五条であった。
「五条か」
「はい。おはようございます。先輩」
「...どうしたんだ」
「はい。1つ言うと用事があって」
「...何の用事だ?」
「私の親戚の斉藤って人が居ます。その人に頼まれまして」と笑顔になる。
歪んだ様な笑顔になったその五条に。
「何だって?」と聞き返す。
五条は「裕太郎先輩。1つ言いますけど。...幸奈さんを助ける気ですか」と言いながら俺を見てくる。
「...助けるつもりは無い」
「えー?でも今助けているんじゃないですか?」
「...五条。...斉藤と知り合いってどういう事だ」
「斉藤さんは私の近所のお兄さんです」
「...そうか」
俺はイラッとしながら話を聞く。
何故イラッとしたのかすら分からないが。
そう思いながら五条を見る。
五条は「もう諦めましょう。先輩。闇に飲まれる運命ですよ。幸奈さんも幸さんも」と笑顔になる。
「...」
「私は助ける価値なんてないって思います。幸奈さんも幸さんも」
「五条。お前がそう思ってもな」
「いや。私もそうですが周りもきっと批判しますよ。世間が許しませんよ。幸奈さんと幸さん。認めませんよ絶対に。ぜーったいに」
「...」
その言葉を聞きながら俺達は学校に来る。
それから昇降口で別れてから俺は歩いていると「山郷くん」と声が。
俺は顔を上げるとそこに植木さんが居た。
植木さんは俺を見ながら「元気?」と聞いてくる。
その言葉に「まあ色々悩みはあるけど元気だ」と答えた。
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