第11話 呪われた血筋

「五条。...お前は何がしたい」

「...私は先輩が好きです。で。...汚い真似をする奴らがみんな嫌いです。なので死んでほしいと思っているんですよ。勿論、幸奈と幸にも」

「...」


そう言いながら俺を見てくる五条と一緒に俺は部室に入った。

すると先輩が「まあ落ち着け」と言ってくる。

植木さんも静かに見据えている。


「...五条さん、だったかな。...君はなんで幸奈さんと幸さんを社会的に死んでほしいと願っているのかな?具体的に」

「簡単にいえば生きる価値が無いです。...そもそも浮気とか浮気の為に変な事をするとか有り得ないし汚いです」

「...」


植木さんは考える仕草をしている。

そして対面に腰掛けている五条を見る。

五条はニコニコしながら愛想の良い感じのキャラを醸し出している。

だが...。


「五条。お前が何をしたいかは具体的に分かったが...だけど社会的に殺す事はしないでほしい」

「...何故ですか?」

「今奴らは...回復している。そうして社会的に抹殺したらもう何も残らないから」

「うーん。裕太郎先輩は甘いですよ。...死んでもらいましょうよ」

「...」


俺は考えながら彼女を見る。

そういえば彼女の顔が何かに似ているな。

こうして見つめると、だ。

そう思いながら居ると五条は「因みに私、クソ女の血が流れています」と告白した。

クソ女?


「...浮気性の女の血が流れています」

「...まさか...それって」

「そうですよ。下村静子(しもむらしずこ)の血が流れています。彼女達の母親の」

「まさか!?」

「いえいえ。本当です。...全て事実です」


唖然としながら俺と彼女達は五条を見る。

五条という名前が違うのはそういう事...なのか。

しかしクズ過ぎるぞその母親。

そう思いながら俺は「五条」と聞いてみる。


「...母親は何人子供を産んだんだ」

「知りませんね。男をとっかえひっかえで妊娠して産んでますから」

「...信じられない屑っぷりだな」

「お母さんは死んでもらっても良いですよ。同じ様に。私に愛情を注がなかった。そして...私を男に売り飛ばそうとした。許せません」


そう言いながら顔が真顔になる五条。

俺はその姿を見ながら顎に手を添える。

すると先輩が「君は...その子達と半分血が繋がっているんだね」と答える。

五条は「はい」と静かに返事をした。


「...それで浮気は許せないと?」

「そういう事もあります。有り得ないでしょ。浮気とか汚らわしい。見知らぬ他人の性器のちん〇をマ〇コ。それも男女の性器同士で繋ぐんですよ?汚いどころじゃないです」

「...いや。女子がちん〇やら言うのは...」

「いえ。言いますよ。私何度でも。本気のガチで恨みありますから」

「...そうなのか」


そう聞きながら俺は五条を見る。

すると五条は「私、生まれてからずっとずーっとお父さんとされる男に虐待されていました。そして最終的には売り渡そうとした。...そんな環境でした。だから私は絶対に汚らわしいものは許しませんし許す気も無いです」と怒り交じりに言う。

俺はその言葉に「ふむ」となる。


「...じゃあ五条さん。...貴方はどうしたいの?」

「...私は2人を社会的に抹殺して今度こそ先輩を幸せにします」

「そうなんだね」

「...はい。...私は先輩を幸せにする。私は家庭を築きます。幸せな」


五条の言葉に俺は真っ赤になる。

それから俯く。

すると植木さんに代わって先輩が「成程ね」と天井を見上げた。

そして「だけど」と言う。

俺達は先輩を見る。


「ネットに流すのは今は止めてほしいって思うかな」

「...それは何故ですか?」

「...私はまだ会った事は無いけど。植木さんから聞くに2人は反省をしようとはしている。もがいている。だから暴露とかそれをやっちゃうと全て壊れると思う」

「...良いじゃないですか。壊れたって。私は許せないです」

「いや。そういう意味じゃないんだ。...だけど...こう。何だろう。...とにかく今はそっとしておいて見守ってほしいっていうか」

「透子先輩も甘すぎです」


そう言いながら真顔になる五条。

俺はその姿を見つつ「五条。もう少しだけ時間くれないか」と言ってみる。

五条は「?」を浮かべて俺を見てきた。

その姿に俺は植木さんを見る。


「...俺は...必ずまた反省させてみせるから。...幸奈もそうだが幸ちゃんも」

「...甘いですよ。裕太郎先輩。あり得ないですよ。反省とか」

「...それはやってみないと分からない。それからでも良いか。暴露するのは」

「まあ好きな人がそう言ってますから...仕方が無いです」


「今は止めてあげても良いですが」と目線だけ俺に向ける五条。

俺はその姿を見ながら「植木さん。先輩。協力してくれますか」と2人を見る。

すると2人は「まあやれる事はね」とニコッとする。

そんな姿に「甘いですよ。本当に」と五条は悪態を吐く。


「...取り敢えず...どう行動するべきか」

「...山郷くん」

「...何?植木さん」

「私は...かつての姿を夢見ている」

「...?」

「仲の良い3人にまた戻りたい。...だから協力して下さい」


植木さんはそう言いながら俺を見る。

俺はその姿を見ながら「...だね」と返事をした。

それから俺達は話し合いをした。

どうするべきか。

そしてどうしていくか、だが。

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