第7話 ネタバラシした理由


自らの姉の事を幸奈と言い。

幸ちゃんはまるで許す気が無さそうだった。

俺はそんな幸奈と幸ちゃんを見かねて...話し合いの場を設けた。


正直。

幸奈が殺されなかったら良いが。

そう思いながら俺は部活をする為に部室に来た。

そうしてから俺は部室のドアを叩く。

それから入室した。


「やあ」

「透子先輩」


大島透子(おおしまとうこ)。

1学年上の先輩である。

3年生だ。

見た感じ...知的なベレー帽を好んでいる顔が凛とした先輩。

だけど本人曰く。


「私は天才ぶる為にこれを被っているのではないぞ」


と言っている。

ベレー帽は何の為に被っているのかと聞くと。

弟が好きだったから、だそうだ。

その弟さんは小児がんで亡くなっているのだが...。


「先輩。ちょっと相談に乗ってもらっても良いですか」

「君が相談する内容は浮気の事かな。...君の彼女の」

「待って下さい。何で知っているんですか」

「カンだね」

「...まあ嘘ですね。もしかして情報が漏れています?」

「...そうだな。まあ半分は漏れているかもな」


そう言いながら先輩は肩を竦める。

そして「だけどまあ心配はしなくても良いと思うよ。流行っているのは...彼女の噂だから。...つまり...彼女が浮気したという事が流行っているから」とも言う。

俺は「...」となりながら先輩を見る。


「全ては彼女が悪いのだからね」

「まあ確かにそうなんですけどね」

「...君が相談したい事はそれかね」

「...違います」

「?...では?」

「その妹の事です」


俺はそう答えながら先輩を見る。

「なんと。それは予想外だね」と目を丸くして言う先輩。

その言葉に俺は「...彼女はあくどい事を正義だと。そう言っています。...薬を混ぜまくっているんです。彼女の...姉に」と言う。

すると「それはまた」と言いながら先輩も深刻に考える。


「...それはどういう薬かね」

「風邪薬とかですね」

「...今直ぐに止めさせないと取り返しがつかないぞ」

「...でも言っても聞きません。...彼女はあくまで家から追い出そうとしています。自らの姉が嫌いだと」

「...うーん...」


そう言っているとスマホが鳴った。

俺は先輩に断りを入れてからスマホを観る。

そこにはこう書かれている。

(取り敢えず目的は達成したので家から今度は家族会議で幸奈を追い出そうと思います)という感じで、だ。


「...深刻だな」


呟きながら俺は先輩を見る。

先輩は目線だけ動かして俺を見てきた。

それから「大丈夫かね」とそのまま言ってくる。

俺は「いや。本当に嫌なんでしょうね。幸ちゃんは。というか幸奈をマジに追い出そうとしています」と言う。


「...もう一度話をする事は出来ないのかね?何だか複雑そうだけど」

「無理でしょうね。かなり歪んでいます」

「...困ったものだね」

「そうですね...」


そんな会話をしながら居るとドアが開いた。

それから部員の植木さんが現れる。

植木純子(うえきじゅんこ)さん。

同じ2年生の...何というか美少女である。

かなり凛とした性格をしており誰も引きつけない感じの性格だ。


「こんにちは。植木さん」

「...」


相変わらず凛としているな。

というか俺すらも少しだけ美人過ぎてもありオドオドしてしまう。

植木さんは俺をチラ見してから部長の先輩に挨拶をしてから椅子に腰掛けて本を読み始める。

俺は苦笑しながら「じゃあまた」と話を切り上げた。

他の人に聞かれるのも、と思ったしな。


「山郷くん」


そう思っていると寡黙な少女が口を開いた。

それから俺を見てくる。

俺は「!?」と思いながら植木さんを見る。

植木さんはゆっくり本を閉じた。

そして俺を見据える。


「...学校中で噂になっているけど。...彼女に浮気されたの」

「そ、そうですね。...浮気されたって感じかな」

「...そう」


そして直ぐに本に目線を移してからそのまま喋らなくなる。

俺は訳も分からず「???」となっていた。

部長を見てみる。

当然部長も珍しい感じの反応をしている。

あまり喋らない感じの彼女がそう反応したから、だ。


「...植木さんの耳にも届いているのかい?浮気の件」

「浮気されてその妹さんがその人にちょっかいを入れているのも知っています」

「...え?」

「...彼女が薬を買っているのは私の実家の薬局です」

「...!!!!!」

「彼女が「姉が発病しているので」と言って買っていきます。今、オーバードーズの問題でなかなか風邪薬とか若者が買うには難しい状況です。なので途中で疑問に思ったので販売を停止しましたけど」


それでネタバラシをしたのか?

そう思いながら俺は考え込んだ。

すると植木さんは本を栞を挟んで閉じた。

それから俺に向いてくる。


「...お金を払ってくれる、お薬で困っている以上はお客さんですけど。...大島先輩と山郷くんの会話を聞いて販売を停止して良かったと思いました」

「全て聞いていたの?」

「...そうですね。途中からですけど」

「...」

「山郷くん」


そう言われて顔を上げる。

すると植木さんが俺を見ていた。

そして「実家に迷惑がかかるのもあるけど。...彼女の妹さんがやっているそれはあまり良くない。今直ぐにどうにかしないと。私も協力します」と言ってくる。

俺は「は!?」となりながら植木さんを見る。


「貴方の大切な人なんでしょう。貴方のその幸さんとやらは。全力で止めてあげないと」

「...何でそこまでしてくれるんですか?」

「そりゃ彼女は君が好きだから」

「...」

「...は!!!!?」


とんでもないネタバレだった。

植木さんは真っ赤になってから「ぶ、部長」と言うが。

全てが手遅れ。

何がどうなっているのだ!!!!?


「君が好きだから植木さんはこの場所に来たんだ。至極単純な理由さ」

「ぶ、部長!!!!!」

「うえ、植木さんって俺が好きなの!?」

「そ、そうじゃないけど、ですけど」

「言っている文章がおかしくなっているぞ。植木さん。アハハ」


それから先輩はニヤニヤしながら植木さんを見る。

植木さんは「...」となって真っ赤になる。

俯いてしまった。

っていうかどういう事だ!?


「...そ、それで全力で阻止しているの?」

「...ち、違います」

「...」


そうか。

それで医薬品販売を途中で停止したのか。

そして俺に協力を。

そう思いながら俺は植木さんを見た。

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