第6話 裂傷


私が...私が。

信じていたのに...義妹に裏切られた挙句。

更に裕太郎も私と別れたいって言った。

私が...悪いのは承知だけど。

だけどこれはやり過ぎではないだろうか。


「...」


私はあまりのショックに保健室に行った。

それから私は横になってから寝ていた。

かれこれ疲れもあり2時間ぐらい。

そして起き上がってから私はスマホを打つ。


(私が反省したら止めてくれる。こういうの)

(家から出て行ってくれたらね。汚い人は家には要らないから。私は止める気はない)

(話がしたい)

(今話してくれる?私、対面とか嫌だから)


そう言いながら幸は通信を取っていた。

私は「...」となりながらも(分かった)と書いてから(まさかこれを校内にバラすの)と質問する。

すると幸は(いや?しないよ。だってその事で私もあれこれ被害を被る事になるかもだから)と言ってくる。

私は(じゃあどうするの)と書く。


(言ったでしょ。私はあくまでお姉ちゃんを家から追い出すって)

(...それは分かる。だけど...それは...分かるけど)

(私がどんだけ怒っているか分かる?本当にキレているんだから)

(...分かってる)


そして私は(最後の慈悲もあるけど家族に被害が及ぶからアンタの事は取り敢えず様子見)と書いてくる幸の文章を見てから頭を痛める。

それからゆっくりと立ち上がる。

そうしてから私はカーテンを開けた。


「...あら?大丈夫?」

「はい。先生...」

「そう。...でも何だか酷い顔をしているわね?本当に大丈夫かしら」

「...アハハ。私、いつもこんな感じですよ」

「そうなの?」

「...先生。内緒にしてくれますか」

「...何を?」

「私、浮気したんです」


そう言いながら私は先生の顔をジッと見る。

すると先生は「そうなのね」と笑顔になった。

頭を撫でてくる。

優しく微笑む。


「浮気は駄目。...だけどそれを貴方がするって事は貴方は何か悩んでいるんじゃないのかしら。...相談に乗るわよ」


先生は優しくそう言ってくれた。

そして私は今までの事を打ち明ける。

すると先生は教師として通報するかと思ったが。

先生は「内緒にするわ」と言う。

「家族間のもめ事だもんね」とも言いながら、だ。


「それにしても...貴方の義妹さんもかなりキレているわね。貴方に対して。だけど貴方に対して怒るって事は裏を返せばまだ色々交渉の余地があるんじゃないかしら」

「...そう思います?」

「私はそう思うわね。...だけど貴方がどう思うかよ」

「...私...変わりたいって思っています」

「...そうなんだ」

「義妹と仲をせめてもの戻したいです。7年も一緒に居る義妹を、裕太郎を怒らせた。...私は馬鹿だなって思います」

「貴方がそう言うならまだチャンスはあるわ。きっとね」


そう言いながら先生はウインクする。

それから「じゃあどうしたら良いか一緒に考えましょうか。因みに私は口が固いから安心してね」と笑顔で言う。

私は涙が出てきた。


「...私はどうしたら良いんですかね」

「それはまあ...反省ね。そして別れるべき。その浮気相手とは」

「...ですね。もう別れようと思います。若気の至りでした」

「その後は貴方はどうしたいの」

「...義妹ともう一度、やり直したいです」

「そうなのね」


私は言いながら涙を浮かべる。

浮気しただけでこんな目になるなんて思いもよらなかった。

浅かった。

考えが全て浅すぎた。

だから後悔しかないといえる。


「...私、反省してからやり直して...絶望を変えたい、様な気がします」

「その意気ね。私は応援しているわよ」

「...有難う御座います」

「...それで私で良かったらいつでも相談に乗るから。来なさいね」

「有難う御座います。先生」


そして私はゆっくり立ち上がる。

それからよろよろとなりながらだが表に出る。

教室に戻る。

すると目の前の裕太郎が居た。

私を見てから視線を外す。


「...はは。馬鹿だよね。私も。大切なものを次から次に失って。訳分からない」


そんな事を呟きながら私は勉強をする。

それから次の時間に備えた。

すると「おい」と声がしてきた。

顔を上げると裕太郎だった。


「...ど、どうしたの」

「お前とお前の幸ちゃんとの会話をどっかの場面で作ろうと思う。話をしてくれないらしいしな」

「そうだね。私が全部悪いから」

「...お前に反省とかそういう言葉も何も届かないだろうけど。...俺はお前に猛省してほしい」

「...努力はする」

「お前のやった行為は人生の破滅だから。いい加減にもう...反省してくれよ」

「...」


そして裕太郎はそのまま椅子に戻って腰掛ける。

私はその友人と喋る裕太郎の姿を見ながら溜息を吐いてから外の景色を見た。

この先私は...私は。

どう生きるべきなのだろうか。

そう思いながら、だ。



私はどんな希望を思っているのだろう。

あんな奴に希望とか全てをもう失っているが。

そう思いながら私はフェーズを移す事を考えながらそのまま授業を受けた。


すると「幸」と声がした。

顔を上げるとそこに薫子が居た。

永島薫子(ながしまかおるこ)である。

丸いメガネをかけた少女。

私の友人だ。


「薫子。どうしたの?」

「うん。...幸ってさ。裕太郎先輩と付き合う事にしたの?」

「付き合うっていうか。まあそうしようかなって考えていた。先輩が好きだしね」

「成程ね。...でも先輩って彼女が居たんじゃ」

「...まあね。確かに。だけど先輩はフリーになったから。ね」


「え?そうなの?」と驚く薫子。

私は「...うん」と返事をしながら薫子を見る。

薫子は「そうなんだね。じゃあチャンスだね」と応援してくれた。

私はその言葉に「だね」と答える。


「でも確かに...別れるとは思った」

「?...何が?」

「実は...幸奈先輩って浮気しているんじゃないかって話になっているから。あくまで噂だけど」

「...」


被害がどこまで及ぶか、だな。

そう考えながら私は真っ直ぐに前を見る。

家族に被害が及ばなければ良いが。

被害を受けるのは姉だけで大丈夫だが。

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