第13話 ワイン造り

ワイン造りに使用するぶどうが無事に決まりニックはローザ商会の事務所の地下にいた。

パースから届けられたぶどうのカルサが高く積み上げられていた。


「ニック様、早速ですが作業に入ってもよろしいでしょうか?」


「はい、お願いします。」


ルノワが早速製造作業に入るようだ。

ワイン造りは、まずワインの原料となるブドウを粉砕、もしくは圧搾し、果汁をアルコール発酵させます。

発酵が終わると、樽やタンクに詰めて熟成させ、ろ過して濁りを除いたワインを瓶詰めすれば完成だ。


ニックは発酵と熟成させる作業を今回魔法を使用して行う。

通常時間がかかる所をスキップするためである。

ニックとしては、まずは1年先までの分を作りたいところだ。それ以降の分に関しては、自然発酵、熟成に任せる。

ルノワの作業を手伝いつつ、ニックも作業を進める。そして3時間ほどが経った。ワイン樽3つ分はできた。


「ニック様、とりあえずワイン300本分はこれで絞れたと思います。あとは発酵、熟成の魔法をかけて頂き、ろ過すれば完成です。」


「わかりました、では魔法をかけますね。」


ニックは魔法をかけようとする。

この日のためにニックは事前に魔法書を読み込んだ。

魔法は前提として魔法スキルが必要である。そして魔法を使用するにはイメージすることが大切だという。


「発酵、熟成をイメージして………えい!」


ニックは魔法をかける。するとワイン樽が一瞬光った。


「どうかな…できてるかな…」


「今確認してみます!」


そういうとルノワが樽から1杯分掬い、飲む。


「ん!!」


ルノワはとても驚いた顔をした。


「どうですか!?ルノワさん!」


「こ、ここれは今までにないワインです!すごく美味しいですし…」


「ほんとですか!!」


「えぇ、驚きです…原材料のカルサ。聞いたことがないぶどうでしたが大当たりでしたね!」


ルノワが笑顔で微笑む。


「これは量産した方がいいですね…必ず売れますよ!」


ルノワが量産するように勧めてきた。


「そんなにですか!」


「はい!…もしかして疑ってますか?」


ルノワが少し悲しい顔をみせた。


「いや、疑って…まぁ少しは疑ってますが…」


「やっぱり!」


「いや、まだ子供なので飲めないじゃないですか!今、味を知ってるのはルノワさんだけだし…」


「ん!確かにそうですね…」


「そうだ!父様に飲んでもらいましょう!さらに量産するかはそれ次第です!」


「はい!」


こうしてニックはルノワと共に屋敷へと急いで向かった。


______________________________

リットの執務室


「なんだなんだ、慌ててやってきて…」


リットは2人を執務室へと入れてくれた。


「父様、今回ローザ商会の新商品であるワイン、その名もローザワインが完成しました。ぜひ父様に飲んで頂きたく酒職人のルノワさんと共に来ました!」


「ほう…これがそのローザワインかか私が最終チェックをということか…」


「はい、父様次第でさらに量産するかも決まります…」


「おぉ、責任重大だな…よし、では飲んでみよう…」


そういうとリットはワインをグラスに入れ1口飲む。


「ん!!!なんだこれは…」


リットはかなり驚きの表情を浮かべ、一気にワインを飲み干した。


「どうでしょう?」


「ニックよ……今すぐ量産だ!!援助が必要ならローザ家としても支援する!!」


大好評であった。

こうして、量産することが決まり、ローザ家が生産体制を支援することも決まった。

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