第2話 家系図
ニックは書斎の家系図と書かれた本を手に取った。
本の厚さはかなりのものである。それだけこの家の歴史は長いのかもしれない。
「早速読みますか…」
ニックは読み始めた。
まず最初に家系について書かれていた。
それによると家名はローザ。サリスタ王国の侯爵家のひとつだという。サリスタ王国建国時に初代国王とともに戦いその功績を称えられ、建国以来この地位にあるという。
「なるほど…名だたる名家ってところか…」
名家と知りニックは少し嬉しくなる。
そして次のページには初代侯爵から代々の系図が書かれていた。それも驚くことに数十ページにわたって記されていた。
「とんでもない量だな…」
全部読むのにはかなりの時間がかかる。
そこで途中飛ばしながら重要な箇所を中心に読み進めて行った。
そしてついに最後のページにたどり着いた。
「やっと見つけたよ、僕の名前…それにしても今の当主で19代目なんだ…かなり続いてるな…」
ニックはローザ家の歴史に驚いた。
そして次に今の家族についてである。
まず父親でありローザ家19代目当主はリット・フォン・ローザ。現在サリスタ王国の司法長官を務めている。
そして母親はミリア・フォン・ローザ。
ローゼン公爵家から嫁いで来たみたいだ。
そしてその2人から産まれてきたのが僕。ニック・フォン・ローザである。
家系図には20代目当主と記されている。
「もう内定してるのか…将来は安泰なのかな…」
そんなことをふとニックは思った。
「まぁ、親の名前も知れたしとりあえずは何とかなるか…」
ニックは家系図の本をそっと棚に戻した。
「他にこの世界を知れる本はないかな…」
ニックは書斎を見て回る。
書斎は図書館のようにジャンルごとに分けてある。
「どうやらここは商業についてまとめてあるのか…面白そうだな…」
ニックは商業の本を読み始めた。
前世で外商の仕事に着く予定でもあったため、とても興味が湧いた。
それによるとこの世界では前世と違い商業は全く活発ではなかった。
「なんも娯楽はないし…楽しみもないんだな…」
ニックは少し落胆する。しかしここであることを思いついた。
「これって前世の知識があればこの世界を商業で活性化できるんじゃ…いや、せっかく転生したんだしやらなきゃ!!」
ニックはここでこの世界に転生してきたことに自分なりに意味を見出した。
「これは楽しくなるぞ…」
そんなことを思っていると、書斎に母ミリアが入ってきた。
「あら、ニックここにいたのね!もうすぐリットが帰ってくるわ。一緒に出迎えましょう!」
「う、うん。そういえば父様が帰ってくるって言ってたね。楽しみだなー」
ニックは話を上手く合わせる。少しぎこちなかったが怪しまれることは無かった。
「じゃあ行きましょう!」
ニックはミリアの後を追い、書斎を後にし父リットを出迎えるため外に出た。
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