異世界で商売?革命?〜貴族だけど!
Nami
第1話 異世界に来ました…
僕の名前は中村翔太。
大学4年生だ。
季節はもうすぐ春になろうとしている。
つまり大学を卒業し、就職するのだ。
内定先は大手百貨店。競争率はとても高かった。
熾烈な争いを制して、内定を勝ち取ったのである。
配属予定先は外商部。一般の店舗で販売することとは違って、企業や個人顧客の元に出向いて、物やサービスなどの商品を販売するのが仕事である。
そのためありとあらゆる知識が必要となる。
そのため僕は内定を貰ってから各地の百貨店を訪れ、商品知識を高めていた。時には百貨店のライバルでもあるショッピングセンターも訪れた。
今日も僕は隣町にある百貨店を訪れる。
いつものように各店舗をまわる。
そして僕は内装の補修作業をしている店舗に入った。
お店には高級財布が綺麗に並べられている。
しばらく見て回っているとちょうどお店の天井を補修しているエリアに入った。
高級店ということもあり、照明はシャンデリアである。ちょうどその付け替え作業中であった。
「あっ、!」
僕の頭上から作業員の声が聞こえる。
それと同時に僕の頭に衝撃が走る。
気づけば僕は床に倒れていた。そして白い床に赤い水たまりが広がっていく。次第に意識は遠のいていく。
どうやらシャンデリアが頭に落ちてきたみたいだ。
体も次第にに動かなくなっていく。
どうやら僕はここで死ぬみたいだ。
周りには多くの人が駆け寄り、必死に声をかけてくる。
しかし、僕の意識はもう持ちそうにない。
自然と瞼が下がっていく。どうやらここまでのようだ。
僕は静かに目を閉じたのだった。
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鳥のさえずりが聞こえる。
そしてどこか温かさも感じる。
僕は目を覚ました。
あれからどれだけの時間がたったのだろうか。
辺りを見渡すと見覚えのない部屋にいた。頭にシャンデリアが落ちてきて、その後病院に運ばれたのだと最初は思った。しかし、この部屋の様子は病院ではない。
では一体ここはどこなのだろうか…
部屋には大きなベットにいくつかの骨董品や絵画、大きな鏡そして大きな窓がある。
僕は一旦外の様子を見るために窓から外を覗いた。
「ん?ここは一体…それにしても綺麗な街がひろがってる…」
外の景色はまるで中世のヨーロッパのような街並みであった。
「それしても一体ここは…」
僕は疑問に思い、考えながら部屋を歩き回る。
そして一旦立ち止まるとちょうど目の前に大きな 鏡の前であった。
そしてその鏡に映り込む自分の姿に衝撃を受けた。
「えっ!!!誰!!!」
僕は思わず大きな声で叫んでしまった。
なんと鏡に映りこんだ自分の姿は15歳くらいの美少年であったからだ。
髪は茶髪で、青みがかった目、身長も180cmはあるだろう。控えめに言ってアイドル並みのイケメンである。
「こ、これは一体…ど、どういうこと!?もしかして転生したのか…」
僕は1人考え込んでいると部屋の外からものすごい足音が聞こえてくる。
そしてその足音は部屋の前で止まり、ものすごい勢いで扉が開かれた。
入ってきたのは40歳くらいであろうとても綺麗な女性であった。
目には涙を浮かべている。そしてその女性は僕に抱きついてきた。
「良かった!ほんとに良かった!目を覚ましてくれて!母さん嬉しいわ!!」
「えっ!?母さん!?」
その女性の言葉に僕は驚く。
(えっ!?この人が僕のお母さん!?えっ!ほんとに!?)
あまりに美しい人が突然目の前で自分の母であると言っているため衝撃を受けた。
「…長く眠りについていたから混乱してるのね!まあ目を覚ましてくれてほんと嬉しいわ!"ニック"!!」
「…ニック!?」
「ん?どうしたの!?まさか自分の名前を忘れたの!?」
どうやらこの世界での僕の名前はニックというそうだ。
(ニックって言うのか…てか、名前を忘れたのかって怪しまれてる…もうこうなったら乗り切るしかない!!)
「いえ、母様。大丈夫です。しっかりと覚えているので。」
「なら良かったわ!そうそう、今日はあの人も王都から帰ってくるわ!ニックも目が覚めた事だしお祝いしなきゃね!」
「あの人とは…」
「何言ってるの!私の夫であなたのお父様のリットよ。もう、ほんとに大丈夫なの!?」
再び怪しまれる。
「えぇ、ほんとに大丈夫です!!僕は少し外の空気を吸ってきます!!!」
僕はそういうと急いで部屋を出た。
部屋を出たのはいいものの、初めての場所である。
全く知らない家でもある。部屋を出るととてつも長い廊下が続いている。
(もしかして、とんでもなくお金持ちの家なのかな…)
そんなことを思いつつ僕は適当に部屋に入った。
するとその部屋にはたくさんの本が収納された書斎のような部屋であった。しかしあまりにもたくさんの本があるため図書館と言ってもいいほどである。
僕は少し書斎を見て回る。
「ほんとにたくさんの本があるな…家系図…ん?待てよ?読めてる。」
なんと転生してきたこの世界の言語と前世の言語は丸々一緒であったのだ。
「うわ!こんなラッキーなこともあるんだ…そういえば家系図って書いてあるな…もしかしてこれを読めば少しはこの世界のことが分かるかもしれないな…よし!読もう!!」
こうしてまさかのラッキーなこともありつつ、ニックは家系図と書かれた本を読み始めたのである。
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