オモイドケ

学生作家志望

変わる心

「先に寝ちゃった、?おやすみ。」



今日も僕より先に寝てしまった君。スマートフォンのスクリーンに尖った爪の先が当たって音が立った。中途半端な反応のせいで何回も書いては消してを繰り返した挙句、送ったのはたった1行の短文だった。



毎日これだ。俺はなんて幸せなんだろう。たった1行の文に数分の時間を要する、でもそこに面倒臭いという感情は存在しなかった。存在する感情は純粋な「好き」。


こんなに大好きになった相手はいつぶりだろうかと、前まで好きだった人のことを考えてみるものの、最終的には君のことだけが頭に残るのがテンプレートのオチ。



「本当に大好き。絶対に離れたくないや。」


現実でも夢の中でもこの言葉が何度も繰り返しで再生された。しているのは他の誰でもなく自分自身なわけだが。


愛おしい、この熱が冷めることはいつまでもないんだろう。

 ◆

「あれ?今日は私より先に寝ちゃった、?」

「まあいっか、」




「ねえなんでよっ!こんなの、ないでしょ。」



「何がだよ?」



メッセージ、スマホ越しでも伝わってくる怒りの熱。



「他の女子と楽しそうに話してたじゃん、なんで私に黙ってそんなことするの?あの子のこと好きなの?はっきりしてよ!」



あまりの怒りの熱にスマホが溶けていきそうになる。俺はそれを防ぐようにして冷たいため息を思いっきりスマホに吐きかけてメッセージを打った。



「冷めたんだよ、ほんとに。お前との電話もつまんないしやる価値感じられないんだよ。」

「はっきり言うけど俺はもう咲希よりも天音の方が好きだから。俺はそっちを狙う、だから別れて。」



「さいてい、大嫌い。もう2度と関わらないで。」



咲希はどうやらこの時点で俺のことをブロックしたらしい。でも別にそんなことどうだっていい。俺には新しい好きな人がいるし、振り返ってなんていられない。



あぁ、本当に大好き。たまらなく好きだ。



笑った顔もおっちょこちょいなところも。


君の何もかもが好き、大好き。


顔が火照る、心臓がバクバクと音を鳴らして揺れているのを感じた。


愛おしい、この熱が冷めることは絶対無いんだろう。

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オモイドケ 学生作家志望 @kokoa555

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