さらば、わたしたちの短い、夏の光よ

というボードレールの詩がありますが、まさにそのような小説、いや、その中のとある登場人物を象徴する詩だなぁと思って、ひとこと紹介とさせていただきました。
いきなりなんか暗いことを言っているなと思われるかもしれませんが、逆です。
そういう風に暗いからこそ、逆に熱い、熱すぎるほど熱い青春の輝きがここにはあります。
そして、それを失いたくないとあがく若者、同じく、それを保ちたいともがく……これ以上はネタバレ設定でもちょっと言えません^^;
でも、この人がいるからこそ、このお話はその「夏の光」の輝きと名残惜しさを感じさせてくれます。

何だか抽象的なことを言ってますが、具体的なことは、まず読んでいただければと思うのです。
体育祭という、まさに青春の象徴ともいえるビッグイベントをめぐる、生徒たちの奮闘、そしてその体育祭に陰謀をめぐらせるラスボス。
ひとつひとつの事件とその解決が、その陰謀の完成へと導く手腕は、ミステリをこよなく愛し書きつづける作者ならではの冴えが光ります。
そう……夏の光のように。

ぜひ、ご一読を。

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