如月輝介編
第13話
星奈からお願いを叶えて欲しいという連絡が来て、まず片桐さんを元気にするという約束を果たしてから一ヶ月が立とうとしていた。
この一ヶ月の間星奈からの何気ない連絡があったり、片桐さんと今まで以上に仲良くなり話す機会が増えたり色々なことが起きたが、
星奈からお願いに関する話は何一つとしてなく、片桐さんのことが解決して以来話が進展することはなかった。
そんな日々を過ごしていたある日の夕方頃、星奈のお母さんが俺の家に訪れてきた。
「お久しぶりですねどうしたんですか?うちの親に何か用とかありました?」
「董哉君のご両親にも話はあるけど用があるのは董哉君にもあるのよ。」
「俺に用ですか?それは一体どういったものなんですか?」
「来週の土曜日に星奈の49日があるの。董哉君と董哉のご両親には来て欲しいなって思ってそれを伝えに来たの。」
そうかもうそろそろ星奈が亡くなってから49日が経とうとしていたのか。
「連絡しに来てくださってありがとうございます。必ず行きます。両親にも必ず伝えておきますね。」
「ありがとうね。董哉君たちが来てくれるのならきっと星奈も喜んでくれると思うわ。」
星奈のお母さんは少し悲しそうな笑顔を浮かべながらそう言ってくれた。
この後も少しだけ世間話などをしたが、星奈のお母さんは帰宅の準備をしはじめてしまった。
「もう帰ってしまうんですか?もうそろそろしたら両親も帰ってきますし、ゆっくりしていっても大丈夫ですよ。」
「いいのいいの、董哉君ご両親とはたびだび会う時があるし、私も家のことがあるからねそんなに長居はできないわよ。」
「そうですか。わかりました。気をつけて帰ってくださいね。」
「董哉君はやっぱり優しいのね。また今度ね今日は久しぶりに話せてよかったわ。」
そう言い、星奈のお母さんは自分家へと帰って行った。
数時間後両親が帰って来た後今日のことを伝えたあと、部屋に戻ると俺の携帯が鳴った。
『はい。もしもし』
『やっほー董哉!今度私の49日に来てくれるんでしょ。嬉しいなー。』
星奈はやはり今日の出来事も当たり前かのように知っていた。
『嬉しいっておまえどんな感じなんだよ、自分の49日に家族や知り合いがくるのって。』
『私のためにみんなが来てくれるんでしょ?嬉しいよすごく。こんなにみんなから好かれていたんだなってーすごく実感できるの。』
『そんなもんなのか。』
『でもまた、みんなが悲しい思いをするのは嫌だなぁ...』
やっぱり星奈はとても優しい。周囲のことをずっと考えていて悲しい思いをしてほしくない。
そんな思いが通話越しではあるが伝わってくる。
『でもこればっかりは仕方ないね。私も覚悟を決めていかないとね。』
『やっぱりすごいな星奈は俺だったらそんなに周りのことを考えられないよ。』
『そうかなー?私は董哉もしっかり周りのこと考えられてると思うな。』
『星奈から言われるとどこか本当に思えるよ。』
『そうかなー董哉がそう思ってくれると私は嬉しいよ!ところで明日も学校なんでしょ?今日はこのくらいで終わりにしようか。』
『ああ、わかった。じゃあ今日はこれで終わりだな。』
『うん!これで今日は終わり!おやすみ、明日も寝坊しないでちゃんと学校行くんだよ。』
『わかってるよ。もう3学期初日みたいに寝坊はしないよ。おやすみ。』
その日の星奈との会話はこれで終わりにし明日の学校のため俺は夢の世界に入った。
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