第12話
片桐さんと話をした次の日、俺はいつも通り通学路を歩いて登校していた。
星奈から言われた、これからも片桐さんと話していくということに、なんの話題で話せばいいかと頭を悩ませながら俺は通学路を歩いていた
すると後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい!高嶺くんー!」
振り返って見てみると俺を呼んで来たのは片桐さんだった。
何故今まであまり接点がなかったのに声をかけてきたのか俺にはわからなかった。
「片桐さんおはよう。」
「おはよう。高嶺くん。」
「片桐さんから声をかけてくるなんて思わなかったよ。どうしたの?」
「特に理由なんてないよ。高嶺くんの姿が見えたから声をかけただけだよ。」
理由などないと言われ余計頭を悩ませたが、
とても嬉しいことだ。昨日までは逃げられていたのに、今日は片桐さんの方から話しかけてくれるとは。
そして何やり前みたいな明るい感じに少し戻っていたのだ。何よりこれが一番嬉しく思えた。
「高嶺くん昨日は本当にありがとうね、高嶺くんに話したおかげで本当に心の中にあった何かが軽くなったんだよ。」
「いやそれを少しでも乗り越えられたのは片桐さん自身が強いからだよ。」
「そんなことないよ、私は昨日高嶺くんと話してなければずっと自分だけで抱え込んでいつか壊れてたかもしれない。高嶺くんがあそこまで私と話そうとしてくれたおかげだよ。」
「そのおかげで私は星奈と高嶺くんが好きな明るい私に少し戻れたんだよ。」
そうだな星奈と俺が好きな明るい片桐さん。
星奈と俺!?
「俺昨日そんな恥ずかしいこと言ったか!?」
「うん。ちゃんと言ってたよ明るい私が好きだって。私そのおかげで自身もって今明るくなれているんだよね〜」
俺はあの時とんでもないことを言っていたのか...気がつかなかった。
「頼む忘れてくれ、本当に恥ずかしい。」
「絶対忘れないよ。だって言われてすごい嬉しかったんだから」
片桐さんは少し顔を赤らめながらそう答えた。
お互い恥ずかしがってしばらく黙ってしまっていた。
「ほらそろそろ学校行こ!遅刻しちゃうよ!」
片桐さんが沈黙を破ってくれた。
「そうだな。行こうか。」
俺と片桐さんはこの後、他愛もない話をしながら一緒に学校へ向かった。
教室に着き席に向かうと蓮斗が話しかけてきた。
「おっすー董哉、さっき片桐ちゃん話しながら登校してたな、てことは昨日はちゃんと話すことできたんだ。」
「ああそうだ。蓮斗のおかげだありがとうな。」
「いいんだよ、いつも宿題貸してくれるだろ。ちゃんとお礼は返さないとな。」
そういうと蓮斗は自分の席に戻って行った。
ホールルームが始まるまで自分の席に座りながら、片桐さんのことを少し見ていた。
友達と話す時も昨日までとは違い、少し明るく笑うようになっていた。
星奈との約束はこれで一つはちゃんと守ることはでき、ちゃんと元気することができたのだととても実感が湧いてきた
星奈のはまず最初と言っていたのでまだ星奈のお願いは続く。
このお願いがいつまで続くのかわからないが、
次回もちゃんと約束を守れるように、そして星奈の最後のお願いを叶えられるように頑張ろう。
俺は再びそう決意した。
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