第9話
大きい声を出してしまったせいか、片桐さんは少し驚いてしまっていた。
「片桐さんが全て悪い?そんなことあるはずないだろ!」
「星奈は片桐さんと話すが大好きと言っていたし、一番の友達とも言っていた。俺は何度もその話を聞いてきたから星奈の本心だと言うこともわかっている。
そんな親友からの電話を急いでいたって出ないということは星奈は絶対にしない」
「片桐さんが悪いところは何もないんだ。」
「でもあの日私が電話をかけなければ星奈ちゃんはこんなことには....」
「そんなことを言ったら原因は俺の方がよっぽどあるさ、あの日イルミネーションなんかに誘わなければ、駅集合にしなければ星奈は事故にあうことはなかった。」
「それは違うよ!だってイルミネーション誘われて私に話してきた星奈ちゃんすごく喜んでもの。あ....」
「今片桐さんが否定してきたみたいにさ、俺もさ片桐さんに思ってることは一緒なんだ。片桐さんが悪いとは思ってないし、片桐さんのせいだと思っていないんだ。」
「でも...私は....」
「わかるよ、他の人が許しても自分自身が一番許せないんだよな。俺もとある人に似たような事を言われたけどさ全く自分を許せるつもりはないんだ。
俺も片桐さんと同じなんだよ今でも後悔も罪悪感は消えないしずっと残っている。」
「でもさそれだとさきっと星奈は優しいからさ何も悪くないんだから元気だしなって言ってくると思うんだ。」
「...うん私も星奈ちゃんはそんな感じのこと言ってくると思うよ。」
「だからさそんなに自分を責めないでくれよ。
きっと今の片桐さんの姿を見たらさ星奈は悲しむと思うんだ。明るい片桐さんが好きだったからさ。俺も今の落ち込んでる片桐さんより明るい時の方が好きだからさ。」
「.....うん」
「俺もさまだ星奈のことについては受け止めきれてないだ。」
片桐さんには言えないが最近は電話もしているのでまだ生きていると思ってしまうくらいにはまだ受け止められていない。
「でもさ受け入れて乗り越えないと星奈は悲しむと思うんだ。まだまだ難しいと思うけど一緒に頑張っていこうよ。俺もさ乗り越えられるように頑張るからさ。」
「うん....うん...」
片桐さんの涙は溢れるばかりだった、しかしどこか表情は前とは違うそんな気がした。
「ごめんね。恥ずかしいところを見せて、でもありがとう。高嶺くんのおかげで少し抱えていたものが軽くなった気がする。」
片桐さんは泣き止んだあと言ってきた。
「よかった。少しは力になれたみたいで。」
これで星奈との約束も果たせるようになるだろう。俺はそう思った。
「そういえばさ、話があるって言ってたよね?
話の内容はなんだったの?」
「それについてはもう解決したからいいんだ。
俺がずっと話をしたかったのは、片桐さんがさ複雑な表情をしていたからどうしたのか聞きたかっただけだから。さっきの話でそれはもうわかったからもう大丈夫だよ。」
「高嶺くんは優しいね。そんなことのためにここまでしてくれるなんて....」
片桐さんはこう言ってくれるが
そんなことはない全て約束のためにしていたことだから俺は素直に喜ぶことができない。
「そんなことって言ってるけどさ、あの明るい片桐さんが暗い表情してたら誰でも気になるって。きっと他の人もそう思ってたはずだよ。」
「そう思っても行動に移す人は少ないでしょ?だから高嶺くんはとても優しいよ。その行動のおかげで私は少しだけ前を向けたんだから。」
そう言った片桐さんの笑顔は前のような明るい笑顔に戻ってきているそんな気がした。
「話が大丈夫なら今日は帰ろうかな。泣いちゃったせいでメイクもボロボロだし。」
「ごめん...俺のせいで...」
「ぶー!高嶺くんは何も悪いことはしてません!だから謝らないでください。むしろ私は感謝してます。本当にありがとうね高嶺くん。また明日学校でね!」
「うん。また明日。」
そういったあと片桐さんは俺に一瞬笑顔を見せて帰宅していった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます