第3話

知らない番号から連絡がきたと思ったら亡くなった彼女本人だった。

こんな想像もできないことを目の当たりにした俺はしばらく何も声が出なかった。


『なに黙っているのさ!ちゃんと話をしようよ。久しぶりの会話だよ!』


星奈に話をしようと言われた俺は咄嗟に今ある疑問を全てぶつけた。



『星奈お前は1週間前に交通事故にあったよな』


『うん。そだよ〜』


なんて明るい返事だ


『今日星奈の葬式があったよな....?』


『そうだねー。みんな泣いてて本当に申し訳なくなったよー』



『亡くなったよな....?』



『そうそう!ぽっくり逝っちゃったよー』



どういうことだ星奈は亡くなったのに今俺に電話をかけているのか?そんなことがあり得るのか?


もしかしたら偽物で傷心中の俺をいじってきてるやつかもしれない。そんな疑問が生まれたので俺と星奈しか知らないことを質問してみた。



『お前がもし本当の星奈なら俺の黒歴史を全て知っているはずだ。答えてみてくれ。』


『董哉の黒歴史ー?えっとね....

まず小学6年生までヒーローに憧れていてずっと恥ずかしい台詞言ってたことでしょ。

それと中学2年の頃、私の誕生日にサプライズしようとしてケーキ買ってきたけど途中で転んで服にまでクリームつけて帰ってきたことでしょ。

あとそれと!告白の時...』



『もういいわかったやめてくれ...お前は星奈本人だ...』


俺の3大黒歴史を全て知っているのは星奈1人だけだ。なのでこの電話の相手は星奈しかありえない。


しかしまだ最後の疑問が残っている。


『どうして亡くなった星奈本人が電話をかけていられるんだ?』



何故亡くなった本人が今電話をかけているのか。俺はそのことについて聞いてみた。



『うーんとこれについては私もよくわからないの!でも董哉にだけは何故か連絡をすることができたの!』

 


曖昧な答えが帰ってきた。


『星奈自身もわからないけど俺にだけは連絡できたのが謎だな』


『そうなんだよねー私死んだってことも理解してるのに董哉と今電話ができてるのだ!これは奇跡だ!!』



亡くなった彼女の声が今聞けているこんな幸せなことはない俺はこの幸せを他の人にも分けたくなった。


『なぁ星奈この電話今から他の人にも変わってもいいか?お前の声を聞きたいって人たくさんいると思うんだ』



『それだけは絶対にダメ!いい?この連絡は私と董哉2人だけの秘密!他の人に話したりしたらもう一生話してあげないんだから!』



声を大きく出して考えを否定してきた星奈

俺としても星奈とはまだまだ話をしたいのでこの約束を呑むことにした。



『分かった。約束するお前と連絡できることは絶対に誰にも話さない。』


『ふむ。分かればいいのだ。』


『それでどうしてこんなに俺に連絡してきたんだ?何か理由があるんだろ?』



着信を3回も無視しても星奈が連絡を続けた理由を聞いた。


『そうそうそれを話したかっただよー。

董哉にはさ私が死んで悲しんでる人を元気にして欲しいの!それが私の最後のお願いだから!』


『最後のお願い?それはどういうことだ』



『私ね自分のお葬式の時にきてくれた人が泣いてるのがすごい心苦しかったの。私のさ周りにいる人にはずっと笑顔でいて欲しいから。』


『だから董哉お願い今私のせいで悲しいんでる人を元気つけて欲しいの!』



そうだった星奈は優しいのだ。どんな時でも周りに気を使い。周囲に心配をかけないようにしていた。

そんな優しい彼女のこんなにも優しいお願いを聞かないわけがない。


『わかったその最後のお願い絶対叶えてみせるよ。』


『うん!ありがとう董哉。頼りにしてる!

絶対私の最後のお願い叶えてね!』



こうして俺の亡くなった彼女の最後のお願いを叶える日々が始まった。

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