第2話
それから星奈のお通夜があったりしたが俺自身はあまり覚えていない。
ただ自分がわかっていることは聖奈が亡くなってもう会うことも喋ることもできない、それだけだった。
あの日からずっと家に引きこもり何もすることなく1日を過ごすそんな日々を過ごしていた。
そんな日々を過ごして時間を無駄に消費していると、気がついたら星奈の葬式の日の前日になっていた。
明日とうとう星奈の顔を見れる最後の日になってしまう。あの日から俺は聖奈の死を受け入れることができずにいたが、明日を過ぎるともう本当に見ることもできなくなってしまうので俺は覚悟を決めて葬式の準備を始めた。
星奈のお葬式当日、俺の家族と星奈の親戚意外にも聖奈と仲の良かった友達などがきていた。
お坊さんのお経が読み終わりお香も終わり、最後のお別れの挨拶の時間がきた。
これが終わってしまうと本当にもう顔を見ることはできなくなってしまう。
周りの人達の泣きながら別れの挨拶をしている姿を見ていると、もう一生星奈と会うことができないという事実を突き付けられた俺はあの日から出ることのなかった涙を流しながら星奈の元へ駆け寄った。
「星奈....お前やっぱり寝るの大好きだな...,
俺さ星奈が寝坊してもさ待ってるのすごい好きなんだよ。だからこれからはずっと寝てていいからな....いつか俺もそっちに行ったらさその時は星奈の方から迎えにきてくれよ今までとは逆でさ。だからおやすみ、そして今までずっと一緒にいてくれて本当にありがとう。」
最後の最後に伝えたいことがたくさん出てきて長く喋ってしまった。
でも言葉が止まらなかった。
まだまだ伝えたいこと謝りたいこともあったがそれはまたあっちで会う時に伝えるとしよう。
今はちゃんと送り出してあげたいそう思ったのだ。
最後の別れが終了し、星奈は車で運ばれていった。その光景を見ていると涙が止まらず先ほどよりもずっと泣いてしまった。
俺が車を見送りながら泣いていると星奈のお母さんが話しかけてきた。
「董哉くん。今まで星奈と仲良くしてくれて本当にありがとうね。あの子小さい頃から董哉くんのこと大好きで家でもずっと董哉くんの話してたくらいなんだから。」
「俺の方こそ星奈がいたからずっと楽しく入れたんです.....でも俺があの日星奈を誘ったから...」
「董哉くんのせいじゃないわ。だって星奈家出る前まだずっとさ今日の服装どう?とか聞いてきてすごく楽しみにしてたのよ。だからあまり自分を攻めないでね。」
星奈のお母さんは優しくこう言ってくれたが俺が誘わなければ今も元気でいたかもしれないのだ。
あの日後悔が変えたことはないしこれからも消えることはないだろう。
星奈お葬式が終わり家に帰宅すると俺は今まで星奈と過ごした日々を振り返るかのようにずっとアルバムを見ていた。
物心ついた頃から一緒にいたから写真もたくさんある。
写真を見返すたびに思い出が振り返るがもうこれからは思い出を作ることはできない。その事実がとても辛く悲しく、涙が止まらなかった。
過去に縋ることしかできずアルバムを見ていると携帯から着信音が鳴り響いた。
画面を見てみると知らない番号からの電話だった。
こんな時にかけてくるなよと怒りを覚えながら電話を無視したが何度も何度も着信が止まらなかった。
怒りが止まらず一言行ってやろうと電話に出てみた。
『何度も何度もしつこいぞ!いい加減にしろ!迷惑なんだよ!』
『迷惑とはなんだよ!私がせっかくかけてあげてるのに電話にでないで!いい加減にするの董哉の方だよ!』
相手電話からの声に驚いた。それは俺がずっと聞いてきた声でありもう聞くことのできない声だったからだ。
『その声もしかして星奈なのか.....!?』
『私以外にこの声誰がいると思うのさ。』
亡くなった彼女からの電話がきて俺は驚きでしばらく黙ってしまった。
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