第1話 小国の王子

 日差しが眩しい春、外に出るのも億劫な程の光が差し込む木漏れ日。蒼い蒼い空。

 

 彼、第一王子リルスアートは王城の一室、窓際のテーブルにて実の父と食事の席で討論を交わしていた。

 

 

イルニス王国~王城の一室~


 

 こんにちは、或いはこんばんは、かな皆様。知らない人の為に軽く自己紹介を、私は西大陸の果てにあるイルニス王国の第一王子のリルスアート。



 そして一つ、私の国の話をしよう。あ、話が急だって?すまない。私はせっかちなんだ。許してくれ.....うん、話を戻そうか..



 国と云っても他の大国にある端の街と村の集まりくらいの大きさしかなく、王城に至っては煌びやかとは言えない時折ひび割れた箇所がある苔ばかりの石の城だ。


........

.............

....................


 おっと、会話が途切れたな。すまない。次に此の城にいる使用人と騎士だが、彼等は指で数えれる程度しか居ない。だが、勤勉で働き者であり、誰も彼も私が大好きな人達だ。



 そして普段の食事は1ヶ月に一度、肉が食べれたら良いくらいで、殆どは味気のないスープとパンだけだ。



 ただ、街の人達と同じ物を食べれるのは私は嬉しい。私は国柄上街の人達と小さい頃から接してきた。実に楽しい日々だった........



 あぁ、もういい。私は好きな物は好きと言って、嫌いなのは嫌いと言いたい。



 私は煌びやかなパーティーなど大嫌いで、大好きなのは土と草と風の匂いだ。そう。私は現実逃避をしていたのだ。 

 私は今、父にお見合いの話を提案されている。

 


「父上、私は先程から申し上げておりますが此のお方とは結婚したくありません」


 

  お見合い?無理だよ、そんなのっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 リルは少し苛立ちを見せながら話す。



「ぬ..?何故判らぬ?いつも聡いお主が今回に限って不思議だ」

 


 現イルニス王国国王 イルニス・ヴァン・ソニラスは困惑の表情を浮かべながら答える。



「父上....流石に此の仕打ちはあんまりでございます....」

 


 リルは少し泣きそうになりながら写真に目を向ける。泣きそうとかじゃない、実際に、涙が出ている。何故ならお見合い(予定)相手の姿がインパクト大だからだ。



凶暴な贅肉が至る箇所からはみ出ている。




(いやだああぁ......)




 程なくしてリルは力尽きた。




 だが、次の言葉で強制的に起こされる。





「ふぅ........これを断れば帝国が此の国に進軍してくるとしてもか?」


 

 ソニラスは小さく呟く。ただ、その表情からは怒りや焦りは見られない。ただ、一つあるのは実の息子に対しての申し訳なさの気持ちだけだ。



「!?...... え…? その様な話は聞いておりません、......本当にこれを断れば帝国が此方こちらに進軍して来ると.....?」



 リルは驚きを隠さずに問う


「これを見よ」


 

 リルは言われるがままに羊皮紙に書かれた手紙を見る。

















 「っっっ! ! ! ? ? ? ?」











 そこには............











 帝国軍がお見合い相手のの為にイルニス王国に最も近い帝国の街に滞在していると書かれていた。



 

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My king My master -私と王の哀しみが溢れるこの世界を誰もが笑える世界に変えていく物語- 黑兔 @kuroto1717

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