第21話 母を求めて

―――――――――――『流星。』

目を開けて顔を上げると麗子が居た。


『麗子…』

『もうしないでって言ったよね?』

『じゃあほっといて』

『なんでしたの。』

『……』

『言いたくないの?』

『……』

『麗美?麗美が理由?』


『……黙れ!!…母さんは悪くない!!……』



僕は何かの線が切れて、麗子の首を締めていた。


『今でも…麗美がいい?……麗美の手がいい?……』

『黙れ!!……黙れ!!……』

『麗美はあんたを待ってるよ。…話してあげて。あの子は…あんたを産んだの…ちゃんと愛してたの…』


『黙れ!!……』



――――――――――――『麗子、流ちゃんなんで腕上げてるの?』

『え?』

『手が動いてる。』

『……あぁ。もしかして。。』

『なんか知ってるの?』

『気になるなら流星に話させる。でも喋んないと思うけど…』

『どういうこと?』

『……考えてみたら?そうだな。。。流星は今でもちゃんと麗美を求めて愛してる。それだけは確か。』


『……流星。』

僕は、そばに居る麗美の手を掴んだ。


『麗美…』



―――――――――――――――。


『麗美…ねぇ麗美…』

『ちょっと待って。』

『待てない。』


―――――――――――――――。


夢現ゆめうつつのまま起き上がって、麗美を見た。


『……どうした?』

『……麗美。しよ?もう我慢できないよ。』


それだけ言って倒れるように意識を失うと麗美が咄嗟に支えた。


『夢でも見てたの?……これじゃ確かに切ないね。早く帰っておいで。またあたしがしてあげるから。』



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