第20話 母ふたり


『麗美、ごめん。あたし寝てたから気づかなくて。。』

『あたしこそごめん。間に合わなかった。』


『でもなんで?あたしずっと見てたよ?』

『わかってる。流星の問題。』

『なんでこうなっちゃうの?』

『あたしのせいだと思う。』

『麗美だってちゃんと母親してた。』

『……わかってたんだよね。』

『なにを?』

『あたしのせいなんだ。この子がこうなったのわ。』

『なんで?』


『……あたしさ、アイツと別れたあと、ちゃんと流星を見てた時って、向き合ってた時って流星を叱ってた時だけだったんだよね。…今だから言えるけど結構…痛め付けてた。アザもいっぱいできたし、擦り傷とかも絶えなくてさ。でもこの子、一切泣かなくて、むしろ私見て笑ってた…。「ごめんなさい」って謝りながら…。今と一緒。』


『知ってたよ。でも何も言わなかった。これで、流星が助けを求めてくるなら違ったけど、一切それがなかった。むしろ、「ママ大好き」って離れなかったじゃん。』

『あの時はそれが鬱陶しくてさ…。でもこの子が学校とかでいない時は寂しくて。結局あたしもこの子居ないとダメだったんだよね。』


『……どうする?流星。病院入れる?』

『入れても変わらないと思うな。むしろ悪化すると思う。それを分かってて入れたくない。』


『じゃあ、あんた面倒見切れるの?』

『でも今、あんたのところにいるんでしょ?』

『そうだけど……。』



――――――――――――『流星さん、意識戻りましたよ。会いに行かれますか?』


2人が看護師から集中治療室に呼ばれた。

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