第18話 高級レストラン


「あのさ。」

「うん?」


ある夜、麗子と少し高級なレストランに行った。



「手出して」

「?」


僕は麗子の右手の薬指に証を付けた。


「俺らが法律的に行けるとかどうかは知らねぇ。けど、つばくらいつけさせろよ。」

「野蛮。」


「お嫌い?」

「こういうあんたも嫌いじゃない。」


「足。」


僕が小声でそう言うと、麗子はハイヒールの先で僕のすねを蹴った。


「っ!!…違う、そうじゃない!」


麗子は肘をついて声を殺して笑っている。



「好きだよねそういうの。」と言うと、

「そんな簡単にはいかない」と。


「俺の犬じゃねーの?」

「あぁ?どっちがよ?」


「やばい。興奮してきた。」

「変態。」

「麗子ならそのフォークでも遊べそうだね。」

「これ?」

「あ、ダメ。先は無理」

「知ってる。知っててやってんの。怖いでしょ?」

「怖い。」


「この怖い鋭利なものがあんたをおかしくするものに変わってくとしたら?」

「……期待しちゃうじゃん。」

「答えてあげよっか?」


「……。」

「これで喉撫でてあげてもいいけど。」


「やばい…イきそう…。」

「こんな所で?」

「撫でられたら…気持ちいいだろうな。」

「1人で疼かせてれば?私はディナーに来たの。変態に付き合いに来たわけじゃない。」


そう言って、テーブルの下で僕の足の甲をヒールでゆっくり圧をかけていく…。


「どっちがよ。」僕が小声で言うと、

「なに?」とテーブルの上に置いた僕の手にフォークの先をつけた。


「…もっとしてよ」

「不思議ね…あたし、あんたのその目好き。体の奥の方からあんたが欲しくなる…。」

「出来れば、たくさん構ってほしい。俺、その、しなくていいからさ、弄んで欲しい。」

「それも込みでいいんでしょ?私主導なら、」

「使ってください。」



「…繋いでおいてよかった。」




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