第16話 湧き上がる心

―――――――――――――――朝陽が射し込む部屋。



「……麗美?」

「麗子に迷惑かけないの。」

「ごめん。麗子は?」

「あっちで寝てる。」

「……。」


隣のベットで寝る麗子の頭元にしゃがむと、

麗子が目を開けた。


「流ちゃん。。」

「麗子、迷惑かけてごめん。」

「大丈夫。あたしもあんたも怪我してない。」



僕は後ろから潜り込んで麗子を包み込んだ。


「流ちゃん、ちゃんと寝たの?」

「あんまり。寝た気はしないしふわふわしてる。でも、この匂いはわかる。」

「…あたしもあんたに死なれたら困るの。」

「ごめん。」


僕は、目が覚める少し前からずっと胸が痛かった。


「麗子。」

「ん?」


「俺に抱かれる気ない?」

「隣に母親いるのわかってるの?」


麗子の手を僕の胸に当てた。



「あんたさ、今さら気づいたの?」

「そうみたい。」

「あたしが老衰する前でよかったわ」

「…苦しい。」

「でしょ?そういうものなの。やっとわかった?」




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