第15話 壊れた頭

「なにやってんの?」

「ばーどうぉっちんぐ。」

「女見てんの?」

「…ばばぁしかいねぇ。」


「失礼な!」


麗子が笑う。



夜中の公園、麗子が様子を見に来た。



「…大丈夫?」

「うん」

「なんかあった?」

「大丈夫。」

「私でよければいいなよ?」

「…どうしたらいいなわかんない」

「なにが?」


「誰もいないとこ行って消えたい。」

「私も麗美も見れなくなるよ?」

「それは嫌だけど、でも…」


「なんでそうしたいの?」

「麗美に四六時中甘えてたい。けどそんなの無理じゃん。」

「本当にあの子が好きなのね。」

「今も本当はそばに居たい。でも、寝てる時まで鬱陶しいこと言いたくない。」


「…あたしもいるよ?双子だし。そんな変わらないでしょ」

「……」


「匂い?」


麗子の首に鼻を当てて匂いを嗅いだ。


「俺ね、匂いは麗子が好き。でも、もういい。ごめん。きてくれたのに。」


「流星。」

「うん?」


…麗子が僕にキスした。


「麗美はあんたの親、あたしも一緒。…大人しくかえって寝るよ。」

「もういい。」


「流星!」

「もういいんだって。」


麗子は僕を抱き寄せた。


「あんたにはあたしも居る。大丈夫。」


どうしてこんな思考回路になったかは分からない。常に麗美を求めている自分がいる。

寝ても醒めても麗美にいて欲しい。見てて欲しい。



「麗子。」

「うん?」

「首」


「あんたこれ、麗美にもしてんの?」

「しねーよ。」

「そんなに匂いいいの?」

「いい匂い」

「ずっと嗅いでれば?」


「麗子は?」

「あたしはずっと見ててあげる。」

「……ごめんこんなんで。」

「私はこのあんた好きよ?私居ないと生きていけないって男が好きな女だから。」


「レアだな」

「そうよ。」


「……。」


僕からキスした。


「帰ろ。」

「うん…」






――――――――――――――「流星!!」






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