第14話 衝動

「たまに外に食べに行ってもいいのよ?」

「いい」

「どうして?」

「…めんどくさいなら作らなくていい。俺作るし。」

「…。」


ある日、リビングで僕がイライラしていた。


母はあえて僕の隣に座って抱き寄せた。


「流星。ママのご飯がいいの?」

「バカに…」


不思議だった。

言いかけた言葉の先が出てこなくなった。


その時の母の顔が、昔の母に見えた。


「そう…母さんの以外…食べたくない。」

「そう?」


どこか母は嬉しそうだった。



「麗美、」

「うん?どうした?」

「ちょっと出てくる。」

「いいけど、どこ行くの?」

「コンビニ。」

「あたしも行くかな。」


母は自然に、無言で、僕の手を握っていた。


多分勘づいていた。




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