第8話 弱すぎる線

数日は楽しかった。新鮮だった。

けど、凜音が寝たあと苦しさに襲われていた。


長年与えられた毒に体が侵されていた。


毎夜毎夜、母が隣にいる安心感。

いつでも抱きしめられる距離感…。


…耐えられなかった。



――――――『麗美、麗美が居なくなっちゃうよ。』


母が電話に出るとそれだけ言って切った。




――――――――――――県立勝浦病院。


「なんで目離したの?」

「すみません…」

「こうなると思ってた。だから出したくなかったの。」

「すみません…。知らなくて。」

「流ちゃん。言ったよね?こうなる前に戻っておいでって、昔からこうなんだからさ、自分が一番わかってるでしょ?」



また悪い癖が出た。

母が居ないことで不安定になって浮遊感が酷くなって、落ちた。


でも声は聞こえてた。


――――――――――――翌日。


「麗美…」

「お母さん呼んでくる?…」

「…」

「うん?どうした?」


僕は凜音の袖を掴んでた。


「凜音…」


凜音は僕の口に耳を当てた。


「凜音は、悪くない…。凜音は悪くないからな。」

「ごめんね、流星。。」



――――――――――――――――――。


僕は母の元へは戻らなかった。


そしてまた ……。1ヶ月足らずの出来事だった。



――――――――――――――――――。

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