第7話 禿は実質、朝日

 ◇7月1日 PM11:15


「ただいま~」


 だいぶ遅くなってしまった...。


 ネクタイを緩めながらリビングに行くと、机に突っ伏して眠っている葵ちゃんの姿があった。


 寝てていいよとは連絡してたんだけどな...。

律儀に俺の帰りを待っていてくれるなんて...。


「ただいま」と、いいながら頬を撫でると、半目で少しよだれを垂らしながら「...おかえりなさい...」という。


 すごくかわいくて思わずそのままキスをしてしまう。


「んっ!?//」と、体をビクンとさせながら俺の肩を握りしめる葵ちゃん。


「...寝ててよかったのに」


「...寝ちゃってましたよ...」


「違う違う。ちゃんとベッドでさ...」


「...いやです。今、ご飯温めますね?先にシャワー浴びてきてください...」


「...おう」


 そうして、シャワーを浴び、葵ちゃんが作ってくれた肉じゃがを食べる。


 その後は歯を磨いてすぐにベッドに入る。

すると、すぐに葵ちゃんも入ってきて、「頭...なでなでされたいです」と言いながら俺の胸に顔を押し付ける。


 そうして、頭を撫でているといつの間にか眠りについてしまうのだった。



 ◇7月5日 AM11:00


「あの、髙橋先輩。ここはどうすればいいですか?」と、川上に聞かれる。


「ん?あぁ、これはこうすれば良くて...」


「...なるほど。ありがとうございます!」


 ちなみにうちの会社はインターネット回線の販売を主にしている会社だった。


 メインターゲットは法人ではあるが、今は個人向けにも販売を行っていた。

俺の部署では既存顧客のケアや問い合わせと、事務的な仕事がメインだった。


 川上さんはすでに営業を行っていたこともあり、基本的な知識は入っていることもあり、正直商品については説明はいらないし、PCの扱いも慣れているため、新人教育は想像以上に楽だった。


 そうして、わずか数日でメール対応を行ってもらっていた。


「ちなみに川上さんはどこ大出身なの?」


「宮古女子大ですね!」


「そうなんだ。って、結構偏差値高いとこじゃん。すごいね」


「そうですかね?まぁ、会社に入っちゃったら学歴とか意味ないですけどね」


「...まぁそうだな」


「高橋さんはどこ大ですか?」


「恥ずかしながら...学林だね...」


 ちなみに学林大はFランとして有名な大学である。


「そうなんですね!別に恥ずかしがる必要はないですよ?w学林は友達も結構行ってましたし」


「でも、25か。うーん、若いね」


「そうですか?髙橋さんと3歳しか変わらないですよ?」


「3歳の差はでかいぞー。体も脳も衰えるし、体力も気力も減るからなー」


「そういうもんですかね~?私は休みの日は結構運動してますよ?」


「すげーな...」


「いや、別に凄くはないですよ?w」


「あっ、雫ちゃーん!今日の飲み会楽しみにしてるよ~?」と、禿が朝日が昇るように右側から入ってくる。


「はい!私も楽しみにしてます!」


「久しぶりの飲みだからな~!楽しみだな~!あっ、酔ったら俺が介抱してあげるからね!」と、気持ち悪いことを言い出す。


 うぇぇぇ、キモ。


「先輩も来てくれるんですよね?」


「え?あぁ...「高橋は仕事あるだろ?」と、遮ってそういわれる。


「...そうですね。まぁ仕事が終わり次第」と、言いかけるとスーツの裾を握られ、まるで助けを求めるような目で見つめられる。


「...そうですね。いや、今日は定時で上がって土曜にやります」


「...っち」と、舌打ちをしながら左のほうに消えていく禿太陽の若松。


「...すみません」


「いやいいって。頼っていいって言ったの俺だし。実際、川上さんのおかげで結構仕事楽になってるしさ」


「...ありがとうございます。今度...お礼しますから」


「いや、いいって。気にしなくて」


「そういうわけには...」


 そんな押し問答をしながら、『ごめん。今日は夜ご飯いらない。会社で飲むことになった』と連絡する。


 するとすぐに『わかりました!待ってますね』と連絡が来る。

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